自走式車椅子とは、歩行が困難な人にとって、座ったまま移動ができる車椅子は重要な移動手段です。
車椅子のなかでも自走式車椅子は介助式車椅子と違い自力で漕ぐ(こぐ)ことが出来ます。
怪我や事故、また病気などで身体が動かせない人だけでなく、今は高齢化が進み、操作が簡単なものや多機能で介護者・被介護者双方にやさしいものなど、車椅子の種類も豊富になりました。
なかでも、自分の体の一部のように自操する車椅子、自走式車椅子の特徴や種類や機能、選ぶときのポイントについて紹介します。
自走式車椅子とは
自走式車椅子とは、数ある種類の車椅子のなかでも自走式は、後輪タイヤが大きく自分でこぐ(自走する)ことができる車椅子です。
後輪タイヤの外側にハンドリムと呼ばれる手で握って操作できるものがついているのが特徴です。
自走式車椅子と自走式車椅子、自走用、自操用の違いですが決まりはないようです。
私の見解ですが自走式車椅子は手動(てこぎ)車椅子、自操用車椅子は電動や簡易電動などのモーター駆動の車椅子で表記されているように思います。
自走式車椅子と介助式車椅子の違い
まず、自走式車椅子と介助式車椅子との大きな違いは、自分でこぐか介助者が押すかになります。
もちろん、自走式車椅子でも介助者が押すことは可能ですので、自分で操作したい(操作できる)なら自走式車椅子が選べますよね。
自走式車椅子のメリット
利用者本人が操作をすることを前提に作られているため片手で操作、足で地面をけって進むものなど種類も豊富にあります。
自身でこぐことが出来るという目的で作られているため、後ろの持ち手に介助ブレーキがついていないため、安価なところ。
押し手はついていてもブレーキがない分、構造もシンプルです。
施設や病院の備品で多く使われるほど一般的なため種類も多く、スチールタイプや背折れ機能がないようなシンプルで丈夫なものが多い。
後輪タイヤが大きいため転がる力が強いため段差の乗越がしやすく、自走式の車椅子は、自身で使うときだけではなく、介助者が押すときも負担軽減になります。
緊急避難用や店舗備品の場合は、常時使用するわけでは無い場合、ノーパンクタイヤにしておくと空気入れなどのメンテナンスをする必要がないのでおすすめです。
自走式車椅子のデメリット
座面のことだけではなく車椅子自体の横幅が大きくなることです。
大きな後輪タイヤに付属しているハンドリム部分がタイヤよりも外に出っ張るため幅広になります。
介助用に比べるとやや大きいし、重さもありますので、使用場所の通路幅や、車に乗せる必要性の有無などを考える必要があります。
車椅子に自走式か介助式の違い
車椅子を選ぶときに迷うのが大差がない自走式と介助式ですよね。
その違いは、後ろの介助者が持つ持ち手の部分に自転車のようなブレーキがあるかないかが大きな違いです。
いつも自分でこぐわけでもなく、介助者に押して貰うことがあり、坂道などを移動することもあるのなら介助式も視野に入れるといいかも知れません。
利用する本人(自身)がどういった身体能力があるかが重要になります。
身体能力に応じた車椅子選びのポイント
座り方ひとつとって見ても、身体能力が関わってきます。
車椅子の選び方は体形と座位姿勢を見極めることが大事
バランス良く座れる人向け
車椅子の座面シート(座る面)の座幅はお尻の幅から3~5cm広い幅を目安にしましょう。
大きな座面なら窮屈にならないから楽なように見えますが座位バランスが崩れたり、座位保持が難しくなってきたりします。
浅座りにならないように骨盤の背面上部をしっかり支え、骨盤が後ろに傾くのを防ぎましょう。
脊柱上部(肩甲骨下部)をしっかり支えるために背もたれは肩甲骨の下まであることが目安になります。
車椅子の外に腕を出し、ハンドリムを駆動する腕がスムーズに動かせるよう注意することです。
バランスが崩れやすい人向け
座面の角度、背面角度、坐幅、背面の高さ、アームサポートの高さ、フットサポートの高さを工夫する必要があります。
座位バランスが悪い人向け
バランスが崩れやすい場合に加え、座位保持の工夫をする必要があります。
仙骨座り(ずっこけた姿勢になる)防止
座面の奥行きが長い場合起こりやすい。
座面の工夫で座骨結節が前方に滑り出るのを防ぎます。
- くさび形クッションで座角をつける
- 座面シートがたるまないよう注意
- フットサポートの高さを上げて座角をつける
円背(背中が前に丸まった姿勢)
いわゆる猫背のように身体が丸まらないよう背面ベルトで背中を調整できる物を選びましょう。
仙骨のあたりに床ずれや褥瘡ができかけている場合、除圧クッションなども併用しましょう。
体幹が左右に傾く座り方
身体に合った座面幅を選ぶことが重要。
背面ベルトで調整できる物を選びたいところですが、変形が強い場合は、無理に正しい姿勢に矯正しないで医師や医療従事者達と相談しましょう。
骨盤が前後にずれた座り方
脳梗塞などで片麻痺になってしまった人に多く見られる座り方です。
左右の筋力バランスが違う人も注意しなければいけません。
背面ベルトの調整ができるものや、姿勢保持用のクッションやパッドなどのオプションも視野に入れましょう。
自走式車椅子の特徴
自走式車椅子の特徴をここまで見てくると、自操式(自走式)車椅子は、自ら走行できることを目的としていることが大前提なためにシンプル設計でした。
車椅子の種類と特徴からの選び方
自走式車椅子の種類は大きく二種類に分かれます。
スタンダードタイプ
病院の入り口や行政の窓口、大型商業施設などで使われている標準的な車椅子です。
誰でもが使えるように少し座面も広めの物が多く置かれています。
座面、背もたれ、前輪、後輪などの車輪、押し手、ストッパー(ロック)など一通り部品は揃っているため、初めてでも気軽に使えるようになっています。
多機能・モジュールタイプ
標準的に付いている車椅子の各部品が動き、角度や高さを自由に調節することが出来るタイプの車椅子です。
まとめ
自走式車椅子とは自分で漕ぐことができる車椅子です。
自走式車椅子は介助式車椅子と違い、少し重量と幅が大きい物が多いのが特徴です。
しかし、最近では背折れして座面も併せて折りたためる物、今までの自走式車椅子よりはコンパクトになっているもの、さまざまな種類が出てきています。
一番大切なことは、使用する人自身の座り心地は当然ですが、介助する側の人が介助しやすいようなものを選ぶ必要があります。
置き場所から、走行する場所、これから使いたい場所でのさまざまなシーンをイメージして自走式車椅子を選んでくださいね。
そして、これにして良かったと使用者自身も介助する側の人も思えるような車椅子に出会えることを願っています。
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