この記事は、「電動車椅子の購入を検討している方」「補助が使えるか知りたい方」に向けて書いています。
電動車椅子は高額なため、「購入できるか不安」「補助は受けられるの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
実は、障害者手帳があると「補装具費支給制度」により、電動車椅子の購入や修理費用の補助を受けられる場合があります。
ただし、誰でも対象になるわけではなく、等級や医師の意見書など条件があります。
この記事では、電動車椅子の給付対象・自己負担額・申請の流れまで、初めての方にも分かりやすく解説します。
電動車椅子は補助対象?結論と条件
結論から言うと、電動車椅子は国の補助(補装具費支給制度)を利用して購入・修理することが可能です。
高額な電動車椅子ですが、制度が認められれば自己負担を大幅に抑えることができます。ただし、誰でも一律に補助が出るわけではなく、以下の3つの大きな条件があります。
- 障害者手帳の所持:原則として身体障害者手帳(または難病患者等)であること。
- 医師による「意見書」:「身体状況から見て電動車椅子が不可欠」という医師の診断が必要です。
- 更生相談所等の判定:お住まいの自治体や専門機関によって、支給が妥当かどうかの審査があります。
「手帳があれば自動的に安くなる」と思われがちですが、実際には「生活にどれだけ必要か」という必要性の判定が非常に重要になります。
まずは、ご自身が補助の対象になるかどうか、具体的な負担額や条件を順に確認していきましょう。
電動車椅子の自己負担はいくら?(1割・0円のケース)
電動車椅子の購入や修理にかかる費用は、原則として「1割負担」です。
しかし、所得に応じて「ひと月に支払う金額の上限」が決められているため、数十万円する電動車椅子でも、実際の支払額はぐっと抑えられる仕組みになっています。
| 所得区分 | 世帯の状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般 | 市町村民税課税世帯 | 37,200円 |
この「上限額」の仕組みにより、一般世帯の場合は最大37,200円、市町村民税非課税世帯の場合は0円(自己負担なし)となるケースがあります。
実際の自己負担額のイメージ
- 80万円の電動車椅子 → 約8万円(1割負担)
- 80万円の電動車椅子(一般世帯) → 上限適用で37,200円
- 非課税世帯 → 0円
「思ったより負担が少ないかも」と感じた方は、車椅子全体の補助制度も確認しておくと安心です。
車椅子の補助金はいくら?自己負担額と申請方法を分かりやすく解説

助成を受けるには所得条件があります。障害者本人または配偶者の市町村民税所得割額が46万円以上の場合は、対象外となるため注意が必要です。事前に住民税の通知書などで確認しておくと安心ですよ。
電動車椅子の給付条件(障害者手帳の等級)
電動車椅子の補助を受けるには、原則として身体障害者手帳を所持している必要があります。
障害者手帳には1級から6級までの等級がありますが、電動車椅子の支給判定において最も重要なのは「等級の数字」そのものではありません。
補助の可否は等級の重さだけで決まるわけではありません。
「自力での歩行が困難で、電動車椅子がなければ日常生活や社会参加に著しい支障があるか」という実態が重視されます。
判定の仕組み
手帳の等級はあくまで審査の際の「参考資料」のひとつです。最終的な支給の可否は、以下の要素を総合的に判断して決定されます。
- 医師の意見書:身体状況から見て、なぜ電動車椅子が必要なのかという専門的な判断
- 適合判定:更生相談所などによる、本人の操作能力や生活環境の確認
そのため、一般的に重度とされる1級・2級の方はもちろん、3級以下であっても「手動車椅子を漕ぐのが困難な心疾患がある」「仕事や通学で長距離移動が不可欠」といった個別の事情が認められれば、支給の対象となる可能性があります。
難病患者等の場合
障害者手帳を取得していない場合でも、国が指定する「難病」や「特殊の疾病」により歩行が困難であると認められれば、障害者総合支援法に基づき、手帳所持者と同様の補助を受けることが可能です。
電動車椅子の申請の流れ【5ステップ】
電動車椅子の申請は、自分一人で進めるのではなく「自治体・医師・販売業者」と連携しながら行います。
後から「先に購入してしまったので補助が出ない」といったトラブルを防ぐためにも、必ず以下の手順(5ステップ)を守って進めましょう。
先に購入してしまうと、あとから申請しても補助は受けられません。
必ず「申請→決定→購入」の順番を守りましょう。
※手続きの流れや必要書類は自治体によって異なる場合があります。
電動車椅子の申請の流れ(一般的な例)
- 市区町村の窓口に相談:
まずはお住まいの自治体の福祉課(障害福祉窓口)へ行き、「電動車椅子を作りたい」と相談します。ここで対象になるかや、申請に必要な書類、手続きの流れを案内してもらえます。 - 必要に応じて医師の意見書を準備:
自治体の判断により、電動車椅子の必要性を確認するために医師の意見書の提出を求められる場合があります。案内があった場合は、指定または対応可能な医療機関で作成してもらいます。
※医師の意見書の要否は年齢や障害の状態によって異なります。詳しくは別記事で解説しています。
補装具費支給意見書とは?誰が書く?文書料はいくら?【年齢別の違いも解説】 - 販売業者で見積もりを作成する:
車椅子販売店(業者)に連絡し、自分の身体や生活スタイルに合った電動車椅子の選定と見積書を作成してもらいます。 - 自治体へ申請する:
必要書類(申請書・意見書・見積書など)を揃えて、役所の窓口へ提出します。その後、更生相談所などによる審査や、場合によっては適合判定(試乗など)が行われます。 - 支給決定後に購入・納品:
審査に通ると、自治体から「支給決定通知書(給付券)」が交付されます。これをもとに業者へ正式に依頼し、納品時に自己負担分を支払って受け取ります。

補装具費支給制度とは(障害者総合支援法)
ここまで解説してきた電動車椅子の補助は、「障害者総合支援法」という法律に基づいた「補装具費支給制度」によって行われています。
少し難しい話になりますが、この制度の目的を知っておくと、窓口での相談もスムーズになります。
障害者の自立を支えるための法律
以前は「障害者自立支援法」という名前でしたが、平成25年4月から現在の「障害者総合支援法」に変わりました。
この法律の大きな特徴は、障害の種類(身体・知的・精神)や年齢に関わらず、共通の福祉サービスを受けられるようにした点です。また、難病の方も対象に含まれるようになったことで、より多くの方が支援を受けられるようになりました。
身体の失われた機能を補ったり、損なわれた機能を補完したりするための用具のことです。電動車椅子のほか、義足や補聴器などが該当します。日常生活を支えるために個別に支給される福祉用具です。
なぜ「1割負担」なのか
この制度は、利用者の所得に応じた「応能負担」という考え方をとっています。
- 基本:費用の9割を国や自治体が負担
- 利用者:費用の1割を負担(ただし所得により上限あり)
このように、高額な電動車椅子を個人だけで負担するのではなく、社会全体で支えることで、障害がある方も住み慣れた地域で自立した生活が送れるよう設計されています。
よくある質問(FAQ)
電動車椅子の補助制度について、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。
A:いいえ、誰でももらえるわけではありません。
「手動車椅子では移動が困難であること」や「電動を使うことで自立した生活や社会参加が可能になること」など、必要性が認められた場合に支給されます。
A:原則として、中古品は補装具費支給制度の対象外となります。
この制度は「新品の購入」または「修理」を前提としています。ただし、自治体によっては独自の助成制度がある場合もあるため、どうしても中古を検討したい場合は窓口で確認してみましょう。
A:はい、修理も補助の対象になります。
タイヤの交換やバッテリーの買い替えなども、購入時と同様に原則1割負担(所得に応じた上限あり)で修理が可能です。長く安全に乗り続けるためのサポートも整っています。
A:65歳以上の方(または特定の疾患がある40〜64歳の方)は、原則として介護保険が優先されます。
介護保険でのレンタル条件や費用について詳しく知りたい方は、
車椅子レンタルの条件と料金を詳しく見る
介護保険は「レンタル(月額)」、障害者福祉は「購入(所有)」という違いがあります。身体状況や使用頻度によってどちらが適しているか変わるため、ケアマネジャーや福祉窓口に相談することをおすすめします。

まとめ
電動車椅子は高価なものですが、「補装具費支給制度」を正しく活用すれば、自己負担を最小限に抑えることができます。
最後にもう一度、大切なポイントを振り返りましょう。
- 原則1割負担:所得によって0円、または上限37,200円で済む。
- 必要性がカギ:等級だけでなく「医師の意見書」や「生活環境」が重視される。
- 購入前に申請:必ず「買う前」に自治体の窓口へ相談する。
電動車椅子を手にすることは、単なる移動手段の確保ではなく、「行きたい場所へ自分で行ける」という自由を手に入れることでもあります。
「自分は対象になるかな?」と迷ったら、まずは役所の福祉窓口や相談支援事業所へ、一歩踏み出して相談してみてください。あなたの自立した生活を支える制度が、きっと味方になってくれるはずです!


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