「座位保持装置と姿勢保持装置は同じもの?」「座位保持椅子は子どもだけが対象?」「車椅子や車の座席で使うものは、すべて座位保持装置?」と、名称や用途の違いに迷う方も多いのではないでしょうか。
補装具費支給制度では、旧「座位保持装置」は令和6年度から「姿勢保持装置」、旧「座位保持椅子」は令和7年度から「車載用姿勢保持装置」という名称に整理されています。
姿勢保持装置、車載用姿勢保持装置、車椅子は、それぞれ主な目的や使用場面が異なります。
この記事では、旧称と現行名称の対応、据置・車椅子搭載・車載の違い、補装具費支給制度の対象、安全に使用するための確認事項を、2026年7月時点の制度に基づいて整理します。
最初に確認したいポイント
旧「座位保持装置」=現在の「姿勢保持装置」
旧「座位保持椅子」=現在の「車載用姿勢保持装置」
姿勢保持装置と車載用姿勢保持装置は、制度上は別の補装具です。
旧名称は、医療・福祉現場や日常会話で現在も使われることがあります。
姿勢保持装置・座位保持装置・座位保持椅子の現在の名称
最初に、補装具費支給制度における名称変更を整理します。制度上の名称が変わったあとも、現場や日常会話では旧名称が使われることがあります。
旧「座位保持装置」は現在「姿勢保持装置」
補装具費支給制度では、令和6年4月1日から、従来の「座位保持装置」という種目名が「姿勢保持装置」へ変更されました。
名称が変更されたのは、この装置が座った姿勢だけでなく、身体状況に応じて立位、膝立ち、臥位などの姿勢を保持する目的でも使用されるためです。臥位とは、横になった姿勢のことです。
厚生労働省の資料では、姿勢保持装置を、身体の状態に合わせてパッドなどの付属装置を備え、安定した座位・立位・臥位等を保持できるものとしています。
名称変更の理由は、厚生労働省の令和6年度改正に関する資料でも説明されています。
旧「座位保持椅子」は現在「車載用姿勢保持装置」
旧「座位保持椅子」は、令和7年度から「車載用姿勢保持装置」という名称に変更されました。
車載用姿勢保持装置は、体幹や股関節などを支えるパッド等を備え、自動車へ乗車している間の姿勢を保持するための車載用装置です。
以前の座位保持椅子は身体障害児などを主な対象としていましたが、令和7年度の改正によって児童だけに限定されず、身体障害者や18歳以上の難病患者等にも対象が広げられました。
ただし、年齢や障害名だけで自動的に支給されるわけではありません。本人の身体状況、使用目的、必要性などを確認したうえで、市町村が支給の可否を判断します。
名称変更と対象拡大については、厚生労働省の令和7年度改正通知で確認できます。
現場では旧称が残っていることもある
制度上の名称は変更されましたが、病院、リハビリテーション施設、学校、福祉用具事業所、家庭などでは、現在も「座位保持装置」「座位保持椅子」という呼び方が使われることがあります。
旧名称を使っているから直ちに間違いというわけではありません。ただし、申請書類や見積書、自治体への相談では、どの用途の補装具を指しているのかを確認する必要があります。
相談するときの確認例
室内などで姿勢を支えるための装置なのか
車椅子等の構造フレームと組み合わせるものなのか
自動車の座席へ移乗して使う車載用装置なのか
車椅子に座ったまま車両へ乗る方法なのか
姿勢保持装置とは
座位だけでなく立位や臥位なども含む
姿勢保持装置は、体幹や手足の機能障害などにより、自力で安定した姿勢を保つことが難しい場合に、身体を支えるために使われる補装具です。
使用する人の身体状況に応じて、座面、背もたれ、頭部支え、体幹パッド、骨盤を支える部分、ベルトなどを組み合わせます。
目的は、本人が必要とする姿勢を支え、日常生活で過ごしやすくすることです。ただし、使用すれば必ず姿勢が改善する、身体の変形を予防できる、長時間安全に使用できるとは一律にいえません。
身体の状態や生活場面に合っているか、痛みや圧迫がないか、本人の動きを必要以上に妨げていないかを、専門職と確認しながら調整します。
据置型や車椅子等の構造フレームを使うものがある
姿勢保持装置には、室内などに据え置いて使うものや、車椅子・電動車椅子としての機能を持つ構造フレームと組み合わせるものがあります。
構造フレームとは、座面や背もたれなどの姿勢保持部分を支える土台です。車輪や手押しハンドルなどを備え、移動に使える構造になる場合もあります。
そのため、姿勢保持装置を「必ず一般的な車椅子へ後から取り付けるもの」と考えるのは適切ではありません。姿勢保持部分と移動用フレームを一体的に検討する場合もあれば、据置用として検討する場合もあります。
車載用姿勢保持装置とは
乗車中の姿勢を保持するための車載用装置
車載用姿勢保持装置は、自動車の座席へ移乗して乗車する人が、乗車中の姿勢を保つために使う車載用の補装具です。
本人の身体状況に合わせて、体幹や股関節等を支えるパッド、座面、頭部支えなどが必要になる場合があります。
姿勢保持装置を車の座席へ置けば、そのまま車載用姿勢保持装置として使えるという意味ではありません。制度上の種目だけでなく、製品の用途、固定方法、本人の拘束方法、使用する車両との適合を確認する必要があります。
令和7年度から成人等にも対象が拡大
旧「座位保持椅子」は、以前は身体障害児や18歳未満の難病患者等を対象としていました。
令和7年度の改正では、名称を「車載用姿勢保持装置」に変更するとともに、身体障害者や18歳以上の難病患者等まで対象が広げられました。
現在は「小児しか対象にならない補装具」ではありません。一方で、成人であれば必ず対象になるという意味でもありません。本人の身体状況と車載用途での必要性をもとに、市町村へ相談します。
チャイルドシートや一般的なカーシートとは別物
車載用姿勢保持装置は、一般的なチャイルドシート、ジュニアシート、自動車に標準装備されたカーシートと同一ではありません。
また、身体の姿勢を支えるためのベルトと、衝突時に乗員の身体を拘束する車両側のシートベルトも目的が異なります。
車載用装置を検討するときの注意
製品の取扱説明書を確認する
メーカーが示す車種適合を確認する
車両側の座席形状や固定方法を確認する
姿勢保持用ベルトと乗員拘束用シートベルトを分けて考える
本人の身体状況に合った拘束方法を専門職へ相談する
姿勢保持装置・車載用姿勢保持装置・車椅子の違い
3つの補装具は、主な目的と使用する場面が異なります。
| 比較項目 | 姿勢保持装置 | 車載用姿勢保持装置 | 車椅子 |
|---|---|---|---|
| 旧称 | 座位保持装置 | 座位保持椅子 | 特になし |
| 主な目的 | 必要な姿勢を支える | 乗車中の姿勢を支える | 移動を支える |
| 主な使用場所 | 室内・施設・車椅子等 | 自動車内 | 屋内・屋外 |
| 移動機能 | 構造により異なる | 基本的に移動用ではない | あり |
| 対象年齢 | 児童・成人 | 児童・成人等 | 児童・成人 |
| 補装具費 | 必要性により対象 | 必要性により対象 | 必要性により対象 |
| 車両への固定 | 車載用途とは分けて確認 | 製品・車両ごとに確認 | 車椅子乗車時に確認 |
| 乗員拘束 | 車載時は別途確認 | 車両側の方法を確認 | 車椅子固定と分けて確認 |
バギー型車椅子やベビーカーとの違いは、見た目だけでは判断しにくい部分があります。詳しくは、バギーと車椅子・姿勢保持装置の違いで整理しています。
使用場面を4つに分けて考える
室内などに据え置いて使う
室内、学校、施設などで、姿勢を保ちながら活動したり休んだりするために、据置型の姿勢保持装置を使う場合があります。
使用する場所、テーブルの高さ、移乗方法、介助する人の動き、本人が行う活動なども含めて検討します。
車椅子等の構造フレームと組み合わせる
姿勢保持装置に、車椅子や電動車椅子としての機能を持つ構造フレームを組み合わせる場合があります。
この場合は、姿勢を支える機能だけでなく、屋内外での移動、介助のしやすさ、本人の操作方法、フレームの大きさや重量なども確認します。
車椅子に座ったときの身体の傾き、痛み、クッションとの相性などが気になる場合は、車椅子で座位保持が難しい原因と日常の工夫も参考にしてください。
自動車座席へ移乗して使う
車椅子から自動車の座席へ移乗して乗車する場合は、必要に応じて車載用姿勢保持装置を検討します。
装置を自動車の座席へ置くだけで使用できるとは限りません。装置本体を座席へ固定する方法と、本人を車両のシートベルト等で拘束する方法をそれぞれ確認します。
車種、座席の形、シートベルト、固定金具、エアバッグの位置などによって条件が変わるため、製品メーカーや福祉車両事業者への確認も必要です。
車椅子に座ったまま車両へ乗る
福祉車両などで車椅子に座ったまま乗車する場合は、車載用姿勢保持装置を自動車座席で使う場合とは確認内容が異なります。
車椅子を車両へ固定することと、乗っている人の身体を拘束することは別の安全確認です。
車椅子固定装置、固定位置、乗員用シートベルト、車椅子や姿勢保持部品の構造などを確認します。姿勢保持用のベルトだけで、衝突時の乗員拘束を代用できるとは限りません。
国土交通省も、公共交通での例として車内における車椅子の固定方法を案内しています。実際の自家用車や福祉車両では、車両と固定装置の仕様に従って確認してください。
補装具費支給制度の対象者と申請
身体障害者・身体障害児・難病患者等
補装具費支給制度の対象者は、補装具を必要とする身体障害者、身体障害児、難病患者等です。難病患者等については、対象となる疾病や身体状況などの条件があります。
姿勢保持装置と車載用姿勢保持装置は、2026年7月時点で、身体障害者と身体障害児に共通する補装具種目として掲載されています。
現在の対象種目や制度全体は、厚生労働省「補装具費支給制度の概要」で確認できます。
支給は必要性と市町村の判断で決まる
補装具費支給制度は、対象となる種目であれば必ず支給される制度ではありません。
申請者の身体状況、生活環境、使用目的、ほかの制度との関係、希望する補装具の必要性などを確認し、種目や年齢に応じた判定・意見等を踏まえて、市町村が支給の可否を決定します。
年齢や補装具の種目によって、医師の意見書、処方、判定などの手順が異なる場合があります。購入や正式な製作依頼をする前に、住所地の市町村の障害福祉担当窓口へ相談してください。
制度全体の対象、自己負担、申請の基本は、補装具費支給制度の対象・自己負担・申請の流れで詳しく解説しています。
年齢別の手続きは、次の記事をご確認ください。
市販品・自費購入との違い
補装具費支給制度による購入等と、市販品を自費で購入することは分けて考える必要があります。
市販されているクッション、姿勢を支える用品、一般的なカーシートなどが、すべて制度上の姿勢保持装置や車載用姿勢保持装置に該当するわけではありません。
補装具費支給制度を利用する場合は、身体状況や必要性を確認し、種目や年齢に応じた判定・意見等を踏まえて市町村が支給を決定します。
一方で、補装具費の対象にならなかった製品を自費で購入できないという意味ではありません。ただし、身体への適合や車載時の安全性は、購入方法にかかわらず確認が必要です。
基準額と耐用年数は固定の購入価格ではない
補装具の基準額は、実際の販売価格や見積総額と必ず一致する金額ではありません。
姿勢保持装置は、採寸・採型に関する基本価格、身体を支える部分、構造フレーム、付属品、完成用部品などを組み合わせて算定します。
車載用姿勢保持装置にも国が定める上限価格と耐用年数があり、必要な支持部や内張り、頭部支えなどは、基準に基づいて加算される場合があります。
耐用年数は、年数が過ぎれば自動的に再支給される期限ではありません。通常の使用状態で修理が難しくなるまでの予想年数であり、破損、身体状況の変化、児童の成長、使用環境なども踏まえて個別に判断されます。
基準額や算定方法は改定されることがあります。申請時点の最新基準と自治体の案内をご確認ください。
車載時に確認したい安全ポイント
車載用姿勢保持装置や車椅子を使って自動車へ乗るときは、装置の名称だけで安全性を判断できません。
確認したい内容
製品が想定している使用方法か
取扱説明書どおりに取り付けられるか
メーカーが使用する車種や座席への適合を確認しているか
装置本体を車両へ固定する方法は適切か
本人を拘束するシートベルト等が正しく使えるか
姿勢保持ベルトを乗員拘束用ベルトの代わりにしていないか
車椅子のまま乗る場合、車椅子固定と乗員拘束を分けて確認したか
頭部支えやテーブルなどが乗車時の安全に影響しないか
乗降や緊急時に介助者が対応できるか
本人の身体状況や車両の仕様によって必要な確認は変わります。医師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、義肢装具士、補装具事業者、製品メーカー、福祉車両事業者などへ相談してください。
どの装置でも事故時の安全性を一律に保証できるわけではありません。製品と車両の説明書を確認し、自己判断による固定方法や、本来想定されていない使い方を避けることが大切です。
小児・大人・バギー・日常の悩みは関連記事へ
この記事では、姿勢保持装置、車載用姿勢保持装置、車椅子の全体像と違いを整理しました。年齢や目的ごとの詳しい内容は、次の記事で解説しています。
- 子どもの成長に合わせた選び方や制度利用は、小児の姿勢保持装置の選び方と申請
- 成人のシーティングや持ち運びは、大人が姿勢保持装置を使う場合の考え方
- バギーやベビーカーとの違いは、バギーと車椅子・姿勢保持装置の違い
- 座りにくさや日常生活での確認は、車椅子で座位保持が難しい原因と日常の工夫
よくある質問
大人も対象ですか
姿勢保持装置は、児童だけでなく成人も対象になり得ます。車載用姿勢保持装置も、令和7年度から児童限定ではなくなり、身体障害者や18歳以上の難病患者等まで対象が広げられました。
ただし、年齢だけで支給が決まるわけではありません。本人の身体状況、使用目的、必要性などを確認し、市町村が判断します。
座位保持装置という呼び方は間違いですか
制度上の現行名称は「姿勢保持装置」ですが、「座位保持装置」という旧名称は現在も医療・福祉現場や日常会話で使われることがあります。
会話で旧称を使うこと自体が直ちに間違いというわけではありません。申請や見積もりでは、現行のどの種目を指しているのか確認しましょう。
車の座席へ置くだけで使えますか
車の座席へ置くだけで安全に使えるとは限りません。
車載用姿勢保持装置本体の固定方法、使用する車種と座席への適合、本人の拘束方法、車両のシートベルトやエアバッグなどを確認する必要があります。取扱説明書とメーカーの案内に従い、専門職や福祉車両事業者へ相談してください。
車椅子に座ったまま乗車できますか
車椅子のまま乗車できる福祉車両や設備はありますが、すべての車椅子と車両で同じように乗車できるわけではありません。
車椅子を車両へ固定する方法と、乗っている人をシートベルト等で拘束する方法を分けて確認します。車椅子や姿勢保持用ベルトだけで乗員の安全を確保できるとは限りません。
補装具費で必ず支給されますか
姿勢保持装置や車載用姿勢保持装置が補装具費支給制度の種目に含まれていても、必ず支給されるわけではありません。
本人の身体状況、使用目的、必要性、ほかの制度との関係、判定や意見などをもとに、市町村が支給の可否を決定します。正式な購入や製作依頼の前に、市町村の障害福祉担当窓口へ相談してください。
まとめ
旧「座位保持装置」は令和6年度から「姿勢保持装置」、旧「座位保持椅子」は令和7年度から「車載用姿勢保持装置」という名称に整理されています。
姿勢保持装置は、座位だけでなく立位や臥位等を含め、本人に必要な姿勢を支える補装具です。車載用姿勢保持装置は、自動車へ乗車している間の姿勢を支える車載用の補装具で、現在は児童だけでなく成人等も対象になり得ます。
車椅子は主に移動を支える用具であり、姿勢保持装置や車載用姿勢保持装置とは目的が異なります。ただし、姿勢保持装置に車椅子等の機能を持つ構造フレームを組み合わせる場合もあります。
据置、車椅子等との組み合わせ、自動車座席へ移乗して使う場合、車椅子のまま乗車する場合を分けて考えることが大切です。
補装具費支給制度の手順や支給条件は、年齢、身体状況、補装具の種目、自治体の運用によって異なる場合があります。市町村の窓口と、医師、PT、OT、義肢装具士、補装具事業者などへ相談し、本人の生活と使用環境に合う方法を検討しましょう。


コメント
座位保持装置は医療費控除の対象になりますか?教えて下さい。
高橋紀雄さま
コメントありがとうございます。
座位保持装置をどのように購入されたかによって違うようです。
おそらく座位保持装置を購入時は日常生活用具の給付か治療用装具の給付で支給されるかと思います。
治療用装具で給付されて、さらに実費が発生した場合、その実費部分は医療費控除の対象になるとしている市区町村が多いようですが、これも自治体によります。
あと、もし治療用装具で購入された場合、療養費が一部償還される場合があるのでそちらも併せて
高橋様の自治体に一度ご確認されてみてくださいね。
コメントありがとうございました。