「ポルテ 助手席 電動車椅子」と検索してこの記事にたどり着いたあなたは、
もしかすると“もう手に入らないのかもしれない”という不安の中にいるのではないでしょうか。
かつてトヨタのウェルキャブには、助手席そのものが電動車椅子として車外へ離脱し、そのまま走行できる仕様が存在していました。
私はそのポルテに17年間乗り続け、現在は同仕様のスペイドに乗っています。
なぜこの仕様は消えてしまったのか。当事者として、体験と事実をもとに整理してみたいと思います。
ポルテ助手席電動車椅子との出会い
私の身体は、手首は動きますが指先はほとんど使えません。首は安定していませんが、背もたれがあれば保持できます。体幹はわずかに動かせますが、腰や下肢は足首から先以外ほとんど動きません。障害者手帳上は体幹・下肢ともに全廃です。
最初に作った車椅子は、軽量で評判の良いオーエックス(OX)の自走式車椅子でした。しかし半年足らずで腕と肩の力が入らなくなり、自力走行は困難になりました。
さらに、母や姉にとっても車椅子の積み下ろしは大きな負担でした。私自身の移乗にも常に介助が必要で、申し訳なさから外出を控えるようになっていました。
そんな時、姉が見つけてくれたのが、トヨタのポルテ助手席電動車椅子仕様でした。
助手席がそのまま車外へ出て、ジョイスティックで自分で操作できる構造。手首が動く私には操作が可能でした。
2005年にポルテ助手席電動車椅子仕様を購入しました。
初めて自分の操作で前に進んだ日のことを、今でもはっきり覚えています。
風を切って進む感覚。それは「運ばれる」のではなく、「自分で移動している」という実感でした。
その姿を見ていた母は、涙を浮かべながら誇らしそうにしていました。
あの瞬間、ポルテの助手席電動車椅子は私の身体の一部になりました。

ポルテの助手席電動車椅子。「運ばれる」のではなく、自分で選びに行けた時間。
移動は「申し訳ないもの」ではなく、「自分で選べるもの」に変わったのです。
17年乗った相棒と、販売終了の衝撃
2005年に購入したポルテは5人乗り仕様でした。
助手席電動車椅子の巻き取り装置は当時から搭載されており、構造自体は現在と大きく変わりません。ただし、5人乗り仕様のポルテは後部座席の足元が非常に狭く、そのぶん助手席前方は広い設計でした。
その後、後部座席の居住性を改善する方向へ仕様変更が行われ、3人乗り仕様へと移行します。電動車椅子後方の構造は維持されたまま、後席空間の確保が優先される形になりました。
改善だったのか、改悪だったのか。正直、今でも判断は難しいところです。
現在乗っているスペイドも3人乗り仕様ですが、助手席前方はポルテよりもややコンパクトです。電動車椅子が回転して出入りする際、靴先が開口部に触れることもあります。
それでも、巻き取り装置の基本構造や電動車椅子の規格自体は変わっていません。
私は、あのポルテで両親と姉の4人で四国八十八ヶ所を巡りました。
家族で長距離を走れたのは、5人乗りだったあのポルテだからこそできたことです。
生活圏内では、ほとんど母が運転してくれました。17年間、助手席に座る私を乗せて。
体も生活動線も、この仕様に合わせて最適化されていました。
それから15年ほど経ち、一人暮らしを始めた頃にポルテが入手困難になっていることを知ります。
将来を見据え、補装具として「電動リクライニング・ティルト式普通型」の完全電動車椅子の作成を検討しました。
義肢装具士さんの協力でデモ機を用意していただき、「合えば申請しましょう」という流れでした。
しかし実際に試乗してみると、身体をしっかり固定する構造は私には強い拘束感があり、長時間の使用は難しいと感じました。
そしてその後、トヨタの営業担当から告げられた助手席電動車椅子搭載車の「販売終了」という言葉。
それは車種廃止というより、身体の一部を失う感覚でした。
なぜ廃止されたのか?考えられる3つの理由
① 需要の限定性
若年〜中年層は補装具制度で身体に合わせた車椅子を作ることが多く、高齢層にはジョイスティック操作が難しい場合もあります。
既製仕様が身体条件に合う層は、想像以上に限定的だった可能性があります。
② コスト構造の問題
車載シートとしての安全基準と、電動車椅子としての機能を両立する構造は非常に複雑です。製造・保証コストも高かったと考えられます。
③ 制度とのズレ
車両の一部と見なされるため、公費補助の対象外になるケースもありました。
必要とする人がいなかったのではなく、制度と製品構造の間にギャップがあったのだと思います。
助手席電動車椅子タイプがあった主な車種
トヨタのウェルキャブでは、助手席が電動車椅子として脱着できる「助手席リフトアップシート車(脱着タイプ)」が複数の車種で展開されていました。
- ポルテ
- アイシス
- エスティマ / エスティマハイブリッド
- ノア / ヴォクシー
- アルファード / ヴェルファイア
- スペイド
サイズや価格帯は異なりますが、いずれも助手席がそのまま電動車椅子として使用できる構造を持っていました。
現在はすべて新車販売終了となっています。
ラインアップが広かった時代を知っているからこそ、選択肢が失われた現実を強く感じています。
現在このタイプを探す方法|実体験から

助手席側のスライドドアを開け電動車椅子が助手席になっている様子
新車販売は終了していますが、中古市場で見つかる可能性はあります。
絶版の電動車椅子仕様車を中古で手にするための行動
私は北海道から沖縄まで全国規模で探しました。ネット在庫はほぼ皆無。唯一あったのは沖縄で、しかも旧型式でした。
突破口は、福祉車両専門の中古車販売店へ自分から直接連絡したことでした。
- 以前掲載を見かけた販売店へ直接電話。
- 「同様の車両が入れば即決したい」と明確に意思表示。
- 数ヶ月後、買い戻し車両が出るとの連絡。
年式は製造終了年に近く、走行距離約6,600km。現在乗っているスペイドです。

スペイド車輌から助手席電動車椅子が離脱した状態です。
現在使用しているスペイドの電動車椅子は、ポルテ時代のものとは細部が異なります。ポルテは背面にバッテリーが露出していましたが、スペイドはカバー付きになりました。
ただし、ヘッドレストはポルテのものが身体に合っていたため、今も付け替えて使用しています。

スペイド助手席電動車椅子が背面バッテリーカバー付きになっている画像
車両はポルテからスペイドに変わりましたが、助手席電動車椅子の規格は同じため、そのままポルテの電動車椅子も装着して使用できます。
ポルテ本体は手放しましたが、あの車椅子は今も現役で、スペイドの電動車椅子が何かあった時のために私の移動を支える待機をしてくれています。
スペイドは3人乗り仕様で、後部座席の一部はプラスチックカバーにより座れない構造です。
それでも、私にはこの仕様が必要でした。
ネット検索だけでなく、実績のある専門店へ直接意思を伝えておくことが重要だと感じました。
助成制度について(体験ベース)

スペイドの助手席電動車椅子に補装具申請で購入したハーネスを付けた状態
2005年購入時は身体障害者用自動車改造費助成制度により約60万円の助成を受けました。
2022年のスペイド購入時は154,000円の助成を受けています。
10年経過すれば再申請可能で、上限は100万円。支給額は所得区分で変動します。
改造費は通常車両との価格差を基準に算定されます。
※助成制度の条件や支給額、対象改造内容は各自治体によって異なります。
また制度は変更される可能性がありますので、必ずお住まいの自治体へ確認してください。
まとめ|ポルテ助手席電動車椅子が残したもの
ポルテの助手席電動車椅子は、単なる福祉車両ではありませんでした。
母が運転し、姉がハンドルを握り、家族4人で四国を巡った車。
17年間、生活と誇りを支えてくれた存在です。
市場の合理性の中で姿を消した仕様かもしれません。
それでも、この車に救われた人間がここにいます。
この記録が、同じように探している誰かの判断材料になれば幸いです。
▶ 助成制度の申請方法を詳しくまとめました(準備中)

コメント