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車椅子で段差を上がる・降りる介助方法|押し方と注意点

車椅子に乗る男性 車椅子のサポート

車椅子で小さな段差を上がるときや降りるとき、「どちら向きに進めばいいの?」「どこを持って介助すればいいの?」と迷うことがありますよね。

段差介助は、ただ車椅子を押せばよい動作ではありません。

段差の高さや形、車椅子の種類、乗っている人の姿勢、介助する人の力や慣れによって、危なさは大きく変わります。

特に、前輪キャスターや後輪の動き、介助者のグリップの支え方、声かけのタイミングはとても大切です。

この記事では、介助用グリップやティッピングレバーがある一般的な自走式車椅子で、小さな一段を上がる・降りるときの基本的な確認ポイントと、介助するときに気をつけたいことを紹介します。

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この記事は、一般的な自走式車椅子で小さな一段を介助する場合の基本確認です。電動車椅子、簡易電動車椅子、リクライニング車椅子、ティルト車椅子、バギータイプなどには、同じ方法をそのまま当てはめないでください。

車椅子で段差を上がる・降りる前に確認すること

段差を越える前に、まず確認しておきたいことがあります。

車椅子の段差介助は、手順だけを見て真似すればよいものではありません。

利用者の姿勢、車椅子の構造、段差の状態、介助者の足元が整っていないと、小さな段差でも危険になることがあります。

この記事で扱うのは小さな一段の段差

この記事で扱うのは、一般的な自走式車椅子で、小さな一段の段差を介助する場面です。

玄関の上がり框やポーチのような大きめの段差、連続する階段、介助者が不安を感じる高さの段差は対象外です。

高い段差や階段を、介助者一人で無理に越えようとするのは危険です。

「このくらいなら行けるかも」と感じても、段差が高い場合や少しでも不安がある場合は、無理に介助で越えず、別経路やスロープ、複数人での介助を検討しましょう。

利用者の姿勢と足元を確認する

段差を上がる前、降りる前には、利用者の姿勢を確認します。

体が横に傾いていないか、深く座れているか、足がフットサポートに乗っているかを見ます。

手や足、衣服、バッグ、ブランケットなどが車輪や段差に巻き込まれそうになっていないかも大切です。

姿勢が崩れやすい人、体幹を保ちにくい人、足が落ちやすい人の場合は、段差の衝撃で体が大きく揺れることがあります。

その場合は、無理に段差を越えようとせず、別の方法を考えた方が安心です。

車椅子の種類と状態を確認する

車椅子には、自走式車椅子、介助式車椅子、電動車椅子、リクライニング車椅子、ティルト車椅子など、さまざまな種類があります。

同じ「車椅子」でも、重さや重心、キャスターの大きさ、後輪の位置、グリップの形、転倒防止装置の有無が違います。

そのため、ある車椅子でできた介助方法が、別の車椅子でも同じようにできるとは限りません。

特に、電動車椅子やリクライニング・ティルト機能のある車椅子は重く、重心も変わりやすいため、自走式車椅子と同じ感覚で段差介助をしないようにしましょう。

段差介助の前には、次の点を確認します。

  • タイヤの空気や摩耗に問題がないか
  • 前輪キャスターがスムーズに動くか
  • グリップがしっかり固定されているか
  • ティッピングレバーの有無と位置
  • 転倒防止装置や荷物が段差に当たらないか
  • ブレーキの効きに問題がないか

駐車ブレーキは、車椅子を止めておくためのブレーキです。段差を越える動作中に、駐車ブレーキをかけたまま無理に押し進めないようにしましょう。

段差と周囲を確認する

段差を見るときは、高さだけでなく、段差の角や周囲の状態も確認します。

段差の角が欠けていたり、床が濡れていたり、砂利や段差プレートがずれていたりすると、車輪が引っかかることがあります。

段差の前後に十分なスペースがあるかも大切です。

車椅子が段差に対して斜めに入ると、片側の車輪だけが先に乗り上げたり下りたりして、車椅子が傾きやすくなります。

できるだけ段差に正面から近づけるか、介助者が安定して立てるかを確認しましょう。

車椅子で段差を上がるときの介助方法

小さな一段を上がるときは、前輪キャスターを段差にぶつけて無理に押し上げないことが大切です。

一般的な自走式車椅子では、介助者が後ろからグリップを持ち、必要に応じてティッピングレバーを使いながら、前輪キャスターを段差の上へ乗せます。

ただし、車椅子の種類や段差の高さによって対応は変わります。

動く前に声をかける

段差を上がる前には、利用者に声をかけます。

急に車椅子が傾いたり、前輪が浮いたりすると、乗っている人は驚きます。

「段差を上がります」「前輪を少し上げます」など、これから何をするのかを伝え、返答や姿勢を確認してから動き出しましょう。

車椅子に乗っている側からすると、少しの傾きでも大きく感じることがあります。介助者が思っているより、段差や傾斜は怖く感じやすいです。

段差へできるだけ正面から近づく

段差を上がるときは、できるだけ段差に正面から近づきます。

斜めから入ると、片側のキャスターだけが先に段差へ当たり、車椅子が傾くことがあります。

段差の手前で一度止まり、利用者の足や衣服が前輪や段差に近づきすぎていないか確認します。

前輪キャスターを段差の上へ静かに乗せる

前輪キャスターは小さいため、段差にぶつかると引っかかりやすい部分です。

一般的な自走式車椅子では、介助者がグリップを支え、ティッピングレバーを使って前輪キャスターを少し浮かせることがあります。

ティッピングレバーは、介助者がキャスターを浮かせるときの補助として使う部品です。

足だけで強く踏み込めばよいものではなく、グリップの支えと組み合わせて、車椅子の傾きをコントロールします。

ティッピングレバーの有無や位置、使い方は車椅子によって異なります。初めて使う場合は、実際の車椅子や取扱説明書、福祉用具専門相談員などに確認してください。

前輪キャスターを段差の上に乗せたら、いったん車椅子の動きを落ち着かせます。

勢いをつけて一気に上がろうとすると、利用者の体が前後に揺れたり、車椅子が不安定になったりします。

後輪を段差に近づけてゆっくり進める

前輪キャスターが段差の上に乗ったら、後輪を段差へ近づけます。

このとき、「後輪を持ち上げる」というより、介助者が姿勢を安定させて、後輪が段差に沿って上がるようにゆっくり進めるイメージです。

介助者は腕だけで無理に引き上げようとせず、足を前後に開き、腰をひねらないようにします。

車椅子が重い、段差が高い、利用者の姿勢が崩れやすいと感じる場合は、一人で続けない方が安全です。

車椅子で段差を降りるときの介助方法

段差を降りるときは、上がるとき以上に衝撃に注意が必要です。

後輪が段差の下へ急に落ちると、車椅子全体に衝撃が伝わり、利用者の体が揺れたり、姿勢が崩れたりすることがあります。

ここで大切なのは、ティッピングレバーを踏んでキャスターを上げることではありません。

介助者がグリップをしっかり持ち、後輪が段差の下へ急に落ちないように支えながら、ゆっくり下ろすことです。

段差を降りるときは、「ティッピングレバーを踏めば安全に降りられる」というものではありません。介助者がグリップで支え、後輪の動きをコントロールすることが大切です。

後方と介助者の足元を確認する

一般的な自走式車椅子で小さな一段を降りる場合、介助者が車椅子の後ろに立ち、後輪側からゆっくり降ろす方法があります。

このとき、介助者の後ろに十分なスペースがあるかを必ず確認します。

後ろに壁や荷物、人がいると、介助者が下がれず、車椅子を支えきれなくなることがあります。

足元が滑りやすい場所や、段差の下が不安定な場所では、無理に降りないようにしましょう。

利用者へ声をかけて返答を確認する

段差を降りる前には、「段差を降ります」「ゆっくり下がります」と声をかけます。

声をかけるだけでなく、利用者が理解しているか、姿勢が崩れていないかも確認します。

返答がない場合や、体が前後にずれている場合は、すぐに動き出さない方が安心です。

グリップを支えて後輪をゆっくり下ろす

段差を降りるときは、介助者がグリップをしっかり持ち、車椅子を支えます。

後輪が段差の縁を越えるときに、車椅子が急に下へ落ちないよう、動きをゆっくりコントロールします。

このときの「支える」は、車椅子を上へ大きく持ち上げるという意味ではありません。

後輪がドンと落ちないように、介助者がグリップを持って耐えながら、下段へ静かに下ろすイメージです。

足を前後に開き、膝を軽く使って、介助者自身の姿勢も安定させます。

腕だけで支えようとしたり、腰をひねったりすると、介助者の体にも負担がかかります。

キャスター側と車椅子の傾きにも注意する

段差を降りるときは、後輪だけでなく、前輪キャスター側の動きにも注意します。

車椅子の傾きが急になると、利用者の体が前後に揺れやすくなります。

介助者はグリップを支えたまま、後輪が下段に着いたあとも、車椅子が急に傾かないように確認します。

段差の高さや車椅子の重心によっては、一般的な小さな段差でも怖く感じることがあります。

私は車椅子に乗っている側なので、段差を降りるときの「ガタン」という衝撃や、前後に傾く感じはとても気になります。介助する人がゆっくり声をかけてくれるだけでも、怖さはかなり違います。

ティッピングレバーはキャスター操作の補助として確認する

ティッピングレバーは、車椅子の後輪の近くにあることが多い部品です。

介助者が足で踏み、グリップ操作と組み合わせることで、前輪キャスターを浮かせやすくする役割があります。

ただし、ティッピングレバーは万能ではありません。

ティッピングレバーを踏めば、安全に段差を上がれる、降りられるという意味ではありません。

段差を越えるときには、利用者の姿勢、車椅子の重さ、介助者の支え方、段差の高さや形が関係します。

また、車椅子によってはティッピングレバーがない場合や、転倒防止装置が付いていて動きが制限される場合もあります。

ティッピングレバーを使う前に、実際の車椅子で位置と使い方を確認しましょう。分からない場合は、福祉用具専門相談員やリハビリ職などに確認することが大切です。

やってはいけない危険な押し方

小さな段差でも、押し方を間違えると危険です。

特に次のような介助は避けましょう。

  • 勢いをつけて段差にぶつける
  • 利用者に声をかけずに急に動かす
  • 斜めから段差へ進入する
  • 腕や腰の力だけで車椅子を持ち上げようとする
  • 後輪を段差の下へ急に落とす
  • 足元や後方を確認せずに後退する
  • 高い段差や階段を一人で越えようとする
  • 電動車椅子に自走式車椅子と同じ操作をする
  • 不安を感じても無理に続ける

段差介助では、「少しの段差だから大丈夫」と思い込まないことが大切です。

車椅子に乗っている人にとっては、わずかな傾きや衝撃でも怖く感じることがあります。

介助者が気をつけたい声かけ・姿勢・足元

介助するときは、車椅子だけでなく、介助者自身の姿勢も大切です。

足元が不安定な状態で車椅子を支えると、介助者がバランスを崩し、利用者にも危険が及ぶことがあります。

声かけは一方通行にしない

「大丈夫ですよ」と声をかけるだけでは、利用者が本当に準備できているかは分かりません。

「段差を上がります」「ゆっくり降ります」と伝えたあと、表情や返答、姿勢を確認してから動くようにしましょう。

不安そうな様子がある場合は、いったん止まって説明し直すことも必要です。

腰をひねらず足を前後に開く

介助者は、車椅子の後ろで足を前後に開き、安定した姿勢を取ります。

腰をひねったまま支えたり、腕だけで引き上げたりすると、介助者の体に負担がかかります。

段差を降りるときは、後輪が下段へ移る瞬間に衝撃が出やすいため、膝を軽く使いながら支える意識が必要です。

ただし、介助者の体格や体力、腰痛の有無によっては、無理をしないことが大前提です。

難しいと感じたら中止する

段差を前にして、少しでも「危ないかも」と感じたら、無理に続けないことが大切です。

介助者一人で難しい場合は、別の人に手伝ってもらう、別の出入口を使う、段差解消の方法を考えるなど、別の選択肢を取りましょう。

車椅子の介助は、できることを増やすためのものですが、無理をして事故につながっては意味がありません。

高い段差や不安な段差は別の方法を検討する

玄関の上がり框やポーチなど、段差が高い場所では、介助だけで越えるのが難しいことがあります。

そのような場合は、無理に押し上げたり下ろしたりせず、可搬型スロープや段差解消の方法を検討しましょう。

段差の高さとスロープの長さ、実際に可搬型スロープを使うときの注意点は、車椅子で段差を越える介助の限界と玄関スロープの注意点で紹介しています。

スロープを使う場合は、勾配や角度も大切です。

スロープの長さや勾配を計算したい場合は、車椅子スロープの勾配計算の記事も参考にしてください。

自宅内では、段差だけでなく、車椅子が通れる廊下幅や曲がり角、回転スペースも確認しておくと安心です。

家の中の移動環境については、家で車椅子を使う廊下幅と回転スペースの記事でまとめています。

まとめ

車椅子で段差を上がる・降りるときは、段差の高さだけで判断しないことが大切です。

利用者の姿勢、車椅子の種類、介助者の力や慣れ、段差の形や路面によって、必要な対応は変わります。

一般的な自走式車椅子で小さな一段を上がる場合は、前輪キャスターを段差へぶつけず、必要に応じてティッピングレバーを確認しながら、ゆっくり操作します。

段差を降りる場合は、ティッピングレバーを踏むことよりも、介助者がグリップを支え、後輪が急に落ちないようにゆっくり下ろすことが大切です。

どちらの場合も、動く前の声かけ、利用者の返答確認、介助者の足元確認を忘れないようにしましょう。

高い段差や不安な段差では、無理に介助で越えようとせず、スロープや別経路、専門職への相談も検討してください。

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