ユニバーサルデザインのエレベーターには、車椅子利用者や高齢者、子ども、視覚に不安がある人など、できるだけ多くの人が使いやすいようにさまざまな工夫があります。
たとえば、低い位置の操作盤、手すり、鏡、点字、音声案内などです。
なかでもエレベーターの鏡や車椅子マークの付いたボタンは、普段何気なく見ていても「何のためにあるの?」と思うことがあるかもしれません。
この記事では、エレベーターに取り入れられているユニバーサルデザインの特徴と役割、車椅子利用者にとって鏡が必要な理由、車椅子対応エレベーターの寸法の目安までわかりやすく紹介します。
エレベーターのユニバーサルデザインにはどんな工夫がある?
エレベーターには、乗り降りや操作をしやすくするためのさまざまな工夫があります。
| 工夫 | 主な役割 |
|---|---|
| 低い位置の操作盤 | 車椅子利用者や子どもがボタンを押しやすい |
| 鏡 | 車椅子で後ろ向きに降りるときに後方を確認しやすい |
| 手すり | 立位や歩行に不安がある人が身体を支えやすい |
| 音声案内 | 到着階や扉の開閉などを音で確認しやすい |
| 点字・凸文字 | 視覚に不安がある人がボタンの位置や階数を確認しやすい |
| 広い出入口や乗降スペース | 車椅子などでも乗り降りしやすい |
こうして見ると、ユニバーサルデザインのエレベーターは「車椅子専用」というものではありません。
車椅子利用者に便利な設備が、高齢者や子ども、視覚に不安がある人などにとっても使いやすさにつながっています。
低い位置の操作盤や車椅子ボタン
エレベーターでは、通常の操作盤とは別に、低い位置に車椅子マークの付いた操作盤が設置されていることがあります。
これは、車椅子に座った状態でも手が届きやすく、操作しやすいように配慮されたものです。
車椅子マークの付いたボタンを押した場合には、通常のボタンを押した場合と動作が異なるエレベーターもあります。
詳しくは、エレベーターの車椅子ボタンの意味と使い方で紹介しています。
点字や音声案内
階数ボタンに点字や凸文字を付けたり、到着階や扉の開閉を音声で知らせたりすることも、ユニバーサルデザインの工夫です。
目で確認する方法だけでなく、指先や音でも情報を得られるようにすることで、より多くの人が利用しやすくなります。
手すり
かご内に設置された手すりは、立っている人や歩行に不安がある人が身体を支える助けになります。
エレベーターは動き始めや停止時に身体のバランスを崩すこともあるため、こうした設備も使いやすさを支える工夫のひとつです。
エレベーターの鏡はなぜ付いている?

エレベーターの正面の壁などに大きな鏡が設置されているのを見たことがある人も多いと思います。
もちろん身だしなみを見ることもできますが、それだけを目的に設置されているわけではありません。
車椅子でエレベーターへ前向きに乗ると、かごの中で方向転換できない場合には、降りるときに後ろ向きで出ることになります。
そのとき正面に鏡があれば、後ろに人がいないか、扉の外に障害物がないかなどを確認しやすくなります。
車椅子利用者の中には、身体を大きくひねって後ろを見ることが難しい人もいます。
私自身も身体を大きくひねって後ろを見ることはできないため、前を向いたまま後方の様子を確認できる鏡は、単なる飾りではなく実際の移動に関わる設備だと感じます。
エレベーターの構造によっては、正面全体が鏡ではなく、上部に斜めの鏡が設置されている場合などもあります。
車椅子対応エレベーターの寸法の目安
車椅子でエレベーターを利用する場合は、設備だけでなく、かごや出入口、乗降ロビーの広さも重要です。
日本では、高齢者や障害のある人などの移動を円滑にするため、2006年にバリアフリー法が施行され、建築物の用途や規模などに応じてエレベーターの設備や寸法に関する基準が定められています。
建築物移動等円滑化経路に設けるエレベーターでは、条件に応じて次のような寸法が目安となります。
| 項目 | 寸法・設備の目安 |
|---|---|
| かご・昇降路の出入口 | 80cm以上 |
| かごの奥行 | 135cm以上となる場合がある |
| かご幅 | 140cm以上となる場合がある |
| 乗降ロビー | 幅・奥行とも150cm以上となる場合がある |
| 鏡 | 車椅子利用者が戸の開閉状況などを確認できるよう求められる場合がある |
必要な寸法や設備は、建物の用途や規模、エレベーターの構造、自治体の条例などによって異なります。上の数値だけで実際の設計・設置条件を判断せず、該当する法令や自治体の基準を確認してください。
なお、エレベーターの人が乗る箱状の部分は「かご(籠)」、かご側の扉は「かご戸」と呼ばれます。
エレベーターの鏡や寸法には設置基準がある
エレベーターの鏡や寸法は、すべての建物でまったく同じ条件になるわけではありません。
バリアフリー法に基づく基準のほか、地方公共団体が条例などで具体的な整備基準を定めている場合があります。
例えば札幌市の「福祉のまちづくり条例施行規則別表2」では、対象となるエレベーターについて、出入口の幅、かごの奥行き、乗降ロビーの広さ、手すり、操作装置、鏡、音声案内などに関する基準が示されています。
鏡についても、車椅子使用者がかごや昇降路の出入口の戸の開閉状況を確認できるよう設置することが示されており、エレベーターの構造によっては例外となる場合があります。
詳しい条件は、札幌市「福祉のまちづくり条例施行規則別表2」で確認できます。
この記事は、エレベーターのユニバーサルデザインや車椅子利用者に関係する設備を一般向けに紹介するものです。実際の設計・施工や法令への適合判断については、建物の条件に応じた最新の法令・条例・関係機関の情報をご確認ください。
まとめ
エレベーターのユニバーサルデザインには、低い操作盤、鏡、手すり、点字、音声案内、乗り降りしやすいスペースなど、さまざまな工夫があります。
こうした設備は、車椅子利用者だけのためにあるものではありません。
高齢者や子ども、視覚に不安がある人など、できるだけ多くの人がエレベーターを利用しやすくするために取り入れられています。
なかでも鏡は、車椅子で前向きに乗ったあと、後ろ向きで降りる際に後方を確認しやすくする大切な設備です。
普段何気なく使っているエレベーターでも、「なぜこの位置にボタンがあるのか」「なぜ鏡が付いているのか」を知ると、ユニバーサルデザインの意味が見えやすくなります。


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