電動車椅子や車椅子の購入を考える場合、まずは障害者手帳の交付を相談しましょう。
障害者総合支援法やそれ以前の障害者自立支援法が定める補装具費支給制度の電動車椅子給付など色々な福祉サービスを積極的に受けてください。
この福祉サービスの中には、電動車椅子補装具を利用して自立を目指す障害者に対して、電動車椅子など補装具の交付や購入、修理にかかる費用の助成があります。
電動車椅子を使用したいと検討している方に、これらの法律の関係について解説します。
電動車椅子と障害者手帳の等級
電動車椅子を購入したいと思ったときに必要になるのが障害者手帳です。
障害者手帳とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種の手帳を総称した一般的な呼称です。
なかでも身体障害者手帳は、身体の機能に一定以上の障害(上肢、下肢、体幹、目、耳、言語、心臓、呼吸器、腸など)があると認められた方に交付される手帳です。
障害者手帳には、障害の状態によって一般的に1級(重度)から6級(軽度)までの等級が認定され記載されています。
電動車椅子の購入を考えている人が、補装具費支給制度を活用して電動車椅子購入費を支給してもらうには、障害者手帳を所持しているか、難病患者等であることが確認できるものが必要となります。
そして、電動車椅子に対応した障害者手帳であって、各市町村もしくは身体障害者更生相談所で電動車椅子が必要と判定されると支給を受けることができます。
そのときに障害の等級は参考にしますが、絶対条件ではありません。
あくまでも、医師等の意見書や身体障害者更生相談所などの適合判定が重要となっています。
電動車椅子と障害者総合支援法
障害者総合支援法とは、障害者自立支援法の廃止を受け、平成24年3月に閣議決定され、平成25年4月に名称変更し施行されました。
正式には「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」という法律名です。
この名称変更とともに、低所得者に対する負担軽減、障害者の定義に難病等の追加など問題点を改正し、基本理念もはっきりさせました。
障害者総合支援法による利用者負担
補装具の購入又は修理に要した費用の額(基準額)から利用者負担額(原則1割)を除した額を補装具費とします。
障害者が日常生活を送る上で必要な移動等の確保や、就労場面における能率の向上を図ること及び障害児が将来、社会人として独立自活するための素地を育成助長することを目的として、身体の欠損または損なわれた身体機能を補完・代替する補装具について、同一の月に購入又は修理に要した費用の額(基準額)を合計した額から、当該補装具費支給対象者等の家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額(政令で定める額が基準額を合計した額の百分の十を超えるときは、基準額に百分の十を乗じた額)を控除して得た額(補装具費)を支給するものです。
厚労省【補装具ガイドブック(PDF)】障害者総合支援法の概要より
この補装具費についての負担割合は、「国:50/100、都道府県:25/100、市町村:25/100」で、利用者の負担は原則として定率1割負担です。
世帯の所得に応じ、以下の負担上限月額を設定されています。
【負担区分と負担上限月額】
生活保護 | 生活保護世帯に属する者 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一般 | 市町村民税課税世帯 | 37,200円 |
電動車椅子などの補装具費の支給は、障害者総合支援法になる前の障害者自立支援法から引き継がれていますが、低所得者の上限月額は0円となり、負担が少なくなったのは良いですね。
また、障害者が住み慣れた生活環境の中で、自立して生活できるように、サービスの質の向上やケアもさらに進めてほしいものです。
障害者自立支援法と電動車椅子
障害者自立支援法では電動車椅子の助成金や補助金を受けるときには、所得割合により上限月額が設定されていました。
この法律の中では、電動車椅子などの補装具は原則一割負担の上限月額は、「生活保護0円、低所得者1~2・15,000円~24,600円、一般37,200円」で、以前の現物支給から補装具費支給になりました。
さらに身体障害者、知的障害者、精神障害者などの種類や年齢によって、受けられる福祉サービスの内容もそれぞれ決まっていました。
それを障害の種類や年齢に関わらず、共通の福祉サービスを受けられるように一本化したものが障害者自立支援法で、平成18年4月に施行されました。
しかし、障害の程度が重たくなるほど自己負担も多くなるという指摘や難病等は障害者に加わらないということもあり、平成24年2月に野田内閣の閣議において障害者自立支援法が廃止が決定。
現在の「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」となり障害者の定義や難病等を加え、サービス基盤などを見直したものが現在の障害者総合支援法になります。
まとめ
電動車椅子を作るときに障害者手帳は不可欠です。
デメリットに感じることはあるかもしれませんが、メリットも多くあります。
電動車椅子は障害者総合支援法に基づいた補装具費支給制度を活用することが障害者自立支援法から引き継がれ、電動車椅子作成時の自己負担が所得割合で安価に作ることができるかもしれません。
障害者手帳を持っている方が、電動車椅子を利用しやすく住み慣れた地域で自立が目指せるかもしれませんよ!
福祉サービスには色々な種類もあるので、気になることはお近くの市町村の窓口に相談してみましょう。
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