電動車椅子メーカーには、今仙技術研究所(イマセン)・日進医療器・松永製作所・WHILL・スズキ・Permobilなどがあります。
同じ電動車椅子でも、コンパクトさを重視したタイプ、折りたためるタイプ、ティルト・リクライニングや座面昇降ができるタイプ、屋外移動を中心に考えたハンドル形など、得意なことはかなり違います。
そのため「有名なメーカーだから」という理由だけで選ぶより、どこで使うのか、どんな姿勢が必要なのか、車へ積むのかまで考えて比較することが大切です。
この記事では、現在選択肢として検討できる電動車椅子の完成車を扱うメーカーを中心に比較します。
自走式・介助式・ティルト式など、手動車椅子を含めたメーカー全般を探している場合は、次の記事をご覧ください。
電動車椅子メーカー比較一覧
まずは、電動車椅子を選ぶときに候補になりやすいメーカーと特徴を整理します。
| メーカー | 主な特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 今仙技術研究所 (イマセン) |
標準形からティルト・リクライニング、リフト、6輪まで選択肢が豊富 | 身体に合わせた姿勢調整や高機能モデルを検討したい人 |
| 日進医療器 | コンパクトな6輪型やリクライニング型などを展開 | 小回りや車載、身体への調整を重視したい人 |
| 松永製作所 | 手動車椅子に近いフレームを使った軽量型簡易電動車椅子も展開 | 比較的コンパクトな電動車椅子を検討したい人 |
| WHILL | 小回り・屋外走行・デザイン・折りたたみなどモデルごとの特徴が明確 | 外出や車載のしやすさ、デザインも重視したい人 |
| スズキ | ハンドル形電動車椅子「セニアカー」を展開 | 歩行を補う屋外の近距離移動手段が欲しい人 |
| Permobil | ティルト・リクライニング・座面昇降・スタンディングなど姿勢調整機能が豊富 | 姿勢保持や生活動作に合わせた高度な調整を重視する人 |
この一覧は売上やシェアによるランキングではありません。
電動車椅子は身体状況や生活環境によって必要な機能が大きく異なるため、「どのメーカーが一番か」ではなく、自分に必要な機能から候補を絞るための比較として紹介しています。
電動車椅子メーカーごとの特徴
今仙技術研究所(イマセン)|姿勢調整や高機能モデルの選択肢が豊富
今仙技術研究所は、長年にわたり電動車椅子を開発している国内メーカーです。
標準形だけでなく、電動ティルト、リクライニング、リフト、6輪タイプなど、身体状況や生活動作に合わせて選べる製品があります。
2026年10月には「M4Pro」が発売されました。電動ティルト・電動リフトと手動リクライニングを備え、座面の高さや姿勢を変えながら生活動作へ合わせられるモデルです。

IMASENの自操型電動車椅子。ジョイスティックで操作するタイプで、側面からは電動ユニット構造も確認できます。
電動車椅子は、後輪付近にバッテリーを搭載しているモデルも多く、構造によってカバーの有無や見た目が異なります。

IMASEN電動車椅子の後方構造。後輪の間に電動用バッテリーが搭載されています。

一方、高機能になるほど本体サイズや重量も確認したいところです。自宅の廊下、曲がり角、ベッド周辺、テーブルへ近づけるかまで試しておくと安心です。
▶ 家で車椅子を使う廊下幅・曲がり角・回転スペースの目安を見る

日進医療器|コンパクトさと幅広い車椅子づくりが特徴
日進医療器は、手動車椅子から電動車椅子まで幅広く扱う国内メーカーです。
現在の電動車椅子には、コンパクトな6輪タイプの「NEO-PR」や、電動リクライニング機能を備えた「NEO-PRリクラ」などがあります。
NEO-PRは車体を分けられる構造になっているため、電動車椅子を車へ載せたい場合にも比較候補になります。
ただし「分解できる」「折りたためる」だけで車載しやすいとは限りません。最も重い部品を誰が持つのか、車の荷室へ収まるかまで確認しましょう。
松永製作所|軽量型の簡易電動車椅子も選べる
松永製作所は、標準型からモジュラー型、ティルト・リクライニング型まで幅広い車椅子を扱う国内メーカーです。
電動車椅子では、ヤマハ発動機の電動化ユニットを組み込んだ軽量型簡易電動車椅子も展開しています。
一般的な大型の電動車椅子だけでなく、手動車椅子に近いフレームを使った電動タイプも比較したい場合の候補になります。
ヤマハ発動機は2025年3月で電動車椅子の完成車販売を終了し、現在は車椅子用電動化ユニットの開発・製造に特化しています。
そのため、この記事の「完成車メーカー一覧」にはヤマハ発動機を含めていません。
WHILL|外出・小回り・折りたたみを重視した近距離モビリティ
WHILL(ウィル)は、電動車椅子を「近距離モビリティ」として展開しているメーカーです。
小回りや走破性を重視したModel C2、折りたためるModel F、ハンドル操作のModel R・Sなどがあり、移動方法や生活環境に合わせて選べます。
WHILL Model C2の動きや小回りの特徴は、次の紹介動画でも確認できます。
2026年9月には、カーボン素材を採用した折りたたみ式の「Model C Lite」も発売されました。
「屋外へ出る機会を増やしたい」「車へ積んで出かけたい」「介護用品らしさの少ないデザインを選びたい」と考える人には比較しやすいメーカーです。
同じWHILLでも、ジョイスティックで操作するタイプとハンドルで操作するタイプでは、使い方や向いている人が異なります。モデル名だけで決めず、実際に試乗して確認しましょう。
スズキ|屋外移動を補うハンドル形電動車椅子
スズキは、ハンドル形電動車椅子「セニアカー」を展開しています。
セニアカーは、ジョイスティックで操作する一般的な電動車椅子とは異なり、ハンドルを使って操作します。
買い物や散歩など、歩行を補う屋外の近距離移動を目的にする場合の選択肢です。
一方で、身体を細かく支える座位保持やティルト・リクライニングが必要な場合は、ほかの電動車椅子と分けて考えたほうが選びやすくなります。
Permobil(ペルモビール)|姿勢保持と生活動作を重視した高機能モデル
Permobil(ペルモビール)は、スウェーデンで始まった電動車椅子メーカーです。
M3 CorpusやF5 Corpusなどがあり、ティルト・リクライニング、座面昇降など、身体に合わせた電動の姿勢調整機能を備えたモデルがあります。
F5 Corpus VSのように、スタンディング機能を備えたモデルもあります。

私の場合は、数ミリ高さが違うだけでも身体への負担や「できる・できない」が変わります。
座面昇降は単なる便利機能ではなく、テーブルへ合わせたり物へ手を伸ばしたりする生活動作そのものに関わることがあります。
目的から電動車椅子メーカーを選ぶ
メーカー名から探すより、「何をできるようにしたいか」から候補を絞ると選びやすくなります。
小回りや室内での使いやすさを重視したい
室内で使う場合は、本体の全幅だけでなく、曲がり角や方向転換に必要なスペースも重要です。
コンパクトな6輪タイプを扱う日進医療器や今仙技術研究所、小回りを重視したWHILLなどを比較しながら、実際に使う場所で試乗するのがおすすめです。
ティルト・リクライニングや座面昇降を重視したい
長時間座る場合や、自分で座り直すことが難しい場合は、走行性能だけでなく姿勢保持も重要になります。
今仙技術研究所やPermobilを中心に、日進医療器のリクライニング型なども比較候補になります。
折りたたみや車載のしやすさを重視したい
通院や旅行などで電動車椅子を車へ載せる場合は、「折りたためるか」だけではなく、どの方法で車載するのかを先に考えましょう。
電動車椅子は本体にモーターやバッテリーを搭載しているため、手動車椅子より重くなるのが一般的です。福祉車両を使う場合は、スロープやリフトで車椅子ごと乗り込み、車内で固定する方法が中心になります。
その場合は、車椅子の全幅・全長・重量だけでなく、スロープやリフトの対応条件、車内の高さや固定方法まで確認しておきましょう。
一方、普通車の荷室へ載せることを考える場合は、折りたたみ後のサイズや分解できるかどうかも重要になります。WHILLの折りたたみモデル、日進医療器の分割できるタイプ、松永製作所の軽量型簡易電動などが比較候補になります。
「折りたためる」ことと「簡単に車へ積める」ことは同じではありません。購入前に、実際に使う車への積載方法まで確認してください。
歩行を補う屋外移動に使いたい
近所への買い物や散歩など、屋外移動を補うことが主な目的なら、スズキのセニアカーやWHILLのハンドル形モデルも候補になります。
自宅から目的地までの道路幅、傾斜、段差、保管場所、充電場所まで確認して選びましょう。
通販で買える折りたたみ式電動車椅子という選択肢
メーカーや福祉用具事業者へ相談して身体や生活環境に合わせる電動車椅子だけでなく、通販で購入できる折りたたみ式電動車椅子もあります。
その一例が、フェニックス商事が扱うNice Wayブランドの「Nice Way W1」です。
公式ブランドページでは、本体重量約20.5kg、最高速度約6km/h、1回の充電での走行距離は約25kmと案内されています。
Nice Wayは、このページで比較している「電動車椅子メーカー」と同じ位置づけではなく、フェニックス商事が展開する車椅子・介護用品ブランドです。
そのためメーカー比較表には入れず、通販で購入できる電動車椅子の一例として紹介しています。
折りたたみ式は保管場所を取りにくく、車載を考えるときにも候補になります。ただし、折りたためることと、どの車にも簡単に載せられることは同じではありません。
普通車の荷室へ載せるのか、福祉車両のスロープやリフトを使って車椅子ごと乗り込むのかによって、確認するポイントは変わります。
購入前に、本体サイズ・重量・折りたたみ時の寸法・操作方法・バッテリー・充電方法に加えて、実際に使う車への積載方法や固定方法、保証・修理対応まで公式情報で確認してください。
Amazon・楽天市場で価格を比較したい場合は、こちらから確認できます。
今使っている手動車椅子を電動化する方法もある
ここまで紹介したのは、基本的に完成した電動車椅子を選ぶ場合です。
一方、現在使っている手動車椅子や、身体に合わせて選んだ車椅子フレームへ電動ユニットを組み合わせる方法もあります。
ヤマハ発動機は2025年3月に自社の完成車販売を終了し、現在はJWG-1やJWX-2など車椅子用電動化ユニットの開発・製造に力を入れています。
これは「ヤマハの完成した電動車椅子を買う」という選び方とは少し違います。
対応できる車椅子フレームや、本人がジョイスティックで操作するタイプ、ハンドリムをこぐ力を補助するタイプなどがあるため、詳しくは別記事で整理しています。
▶ 車椅子に電動アシストを後付けする方法|仕組み・メリット・注意点
電動車椅子を選ぶ前に確認したい5つのポイント
1.身体に合う座幅と姿勢を確認する
電動だからといって、操作性だけで決めることはできません。
座幅、座面奥行き、背もたれ、アームサポート、フットサポートなどが身体に合っているかを確認します。
2.実際に使う場所で小回りを確認する
カタログに書かれた全幅だけでは、室内で使えるかは判断できません。
ドアを通れるか、廊下を曲がれるか、ベッド周辺で方向転換できるか、テーブルへ近づけるかまで確認しましょう。
3.折りたたみ・分解・重量を確認する
車へ積む予定があるなら、折りたたみ後の寸法と重量を確認します。
分解できる場合も、最も重い部品を実際に持てるか確認しておくことが大切です。
4.制度を利用するなら購入前に確認する
補装具費支給制度などを利用できるかは、身体状況、製品、自治体の判定などによって異なります。
制度を利用する予定がある場合は、自費で先に購入する前に自治体や関係する専門職へ相談してください。
5.試乗と修理体制まで確認する
電動車椅子は、カタログだけでは操作のしやすさや停止するときの感覚、乗り心地までは分かりません。
可能であれば試乗し、普段行う動作まで試しましょう。
- テーブルの下へ入れるか
- ジョイスティックへ無理なく手が届くか
- 食事やパソコン操作をしやすい高さか
- 長時間座ったときに姿勢が崩れないか
- 自宅周辺の段差や傾斜を安全に通れるか
購入後の修理窓口、バッテリーや消耗品の供給、定期点検、近くに対応できる販売店があるかも確認しておくと安心です。
電動車椅子の種類によって選び方も変わる
ひとことで電動車椅子といっても、本人がジョイスティックで操作する自操式、手動車椅子を電動化する簡易電動型、介助者の負担を軽減するタイプ、姿勢調整機能を備えたタイプなどがあります。
「自操式」と「自走式」は似ていますが、自操式は本人がジョイスティックやハンドルなどを使って電動で操作するタイプ、自走式は主にハンドリムを手でこぐ手動車椅子を指します。
電動車椅子のメリット・デメリットや、自走式・簡易電動との違いは次の記事で詳しく紹介しています。
▶ 電動車椅子のメリット・デメリット|自走式・簡易電動との違いを比較
まとめ|電動車椅子メーカーは生活に必要な機能から選ぶ
電動車椅子メーカーには、それぞれ得意な分野があります。
今仙技術研究所やPermobilのように姿勢調整機能を幅広く備えたメーカー、日進医療器や松永製作所のように車椅子づくりの選択肢が豊富なメーカー、WHILLのように外出やデザイン性も重視したメーカー、屋外の近距離移動に特化したスズキなど、方向性は同じではありません。
大切なのは、メーカーの知名度や一律のランキングだけで決めないことです。
どこで使うのか、どの動作をできるようにしたいのか、どの姿勢が必要なのかを先に整理すると、自分に合う候補を絞りやすくなります。



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