電動車椅子は、通常の車椅子と比べると電動モーターを使っていることもあり、その構造は一般的な物よりも複雑な構造やシステマティックになるため値段も高額になります。
車椅子を選ぶにしても高価なものなので、電動車椅子を購入するに至るまではしっかりと選定し、利用する人に最適な物を選びたいですよね。
身体が不自由な人をはじめ高齢者となっても便利なのが電動車椅子ですが、その電動車椅子のメリット・デメリット。
あわせて、その電動車椅子の中でも簡易電動車椅子や、簡易電動アシスト車椅子など種類があるのでその車椅子の特徴と選び方を紹介します。
電動車椅子とは
電動車椅子を選ぶ基準として、自走用車椅子に乗っていられるけれど、長時間移動、自分で操作できないほど腕や肩の力が弱いため難しくなっている人が使います。
車椅子はこげるので手動の車椅子に乗っているけれど、自分で上り坂などは力が弱くなって操作できなくなった人が移動手段として適してくるのが電動車椅子。
電動車椅子には、本気の電動車椅子と、簡易の電動車椅子、はたまた簡易の電動アシスト車椅子というものがあります。
いずれにしても、基本的に乗る人が標準型の自走式が運転できる能力があることが前提です。
ただ腕力や指先、上肢の体力や筋力が低下したり、四肢が不自由で障害があったりする場合でも、楽な操作で動かすことができるために電動モーターを駆動させ移動を可能としているものが電動車椅子です。
電動車椅子のメリット
電動車椅子を選ぶときに良い面と悪い面、どちらもを理解して選ぶ必要がでてきます。
障害者手帳保持者なら、その障害等級とその障がいの特徴により補装具として補助金が出る場合がある事。
介護保険なら、介護度や身体状況が該当すれば電動車椅子をレンタルすることが出来る事もメリットのひとつです。
種類もある電動車椅子ですが、いずれにしても電動モーターで駆動するので大まかなメリットは次の通りになります。
電動車椅子で行動範囲が広がります
自力で歩行する事が困難でも一気に行動範囲が広がるものです。
私は、自走式車椅子がこげなくなって、自走式の車椅子を押して貰うことが日常になっていました。
でも、初めて電動車椅子に乗って自分でジョイスティックを操作して自操運転をしたときは喜びの涙が出ました。
自分一人で風を切って走れるってこんなにも自由なんだと思ったことを今も忘れません。
大袈裟だと思うかも知れませんが、本当なんです。
ジョイスティック型だと腕力や握力がなくても車椅子を手でこぐ必要もありません。
さらには、いくら家族でも気を許した相手でも、本人からすると車椅子を押してもらう事自体、介護者に対する負い目があります。
ウインドウショッピングをしていても、介護者の目線と車椅子に乗っている目線とは高さだけではなく、距離感も違います。
そういったことから、諦めることが多くなり、精神的にストレスにもなってきます。
頑張りすぎたり、我慢しすぎたりして行動範囲を狭めるよりは、本人は勿論、介護者にとっての負担も軽減させる優れものです。
電動車椅子で介護者の負担軽減にもなります
実際に、私が電動車椅子に乗ったところを見た母親も、一人でスイスイと警察署のスロープを上がって行く私の姿を誇らしくて涙が出たと言っていました。
(警察署は許可証か何かを貰いにいっただけです^^)
これが自走式や介助式車椅子だと、スロープとはいえ上り坂や下り坂を押して貰うのは大変です。
何より、ずっと付き添っている必要もないので、体力的にも精神的にも負担が小さくなります。
長距離や坂道での外出を可能にする
フル充電をすることや、予備バッテリーを持ち歩くことで、数時間以上にわたり、走行が可能になります。
上りの坂道など、自走式の車椅子は軽量な物でも車椅子に乗っている本人プラス車椅子の重量を押さなければならなかったものが、電動でスイスイあがっていくので本人も介護者も気軽に出掛けられます。
電動車椅子のデメリット
そんな本気の電動車椅子にもデメリットがあります。
それは、価格の高さと重さです。
値段が高くて重量も重い・・・。^^;
本気のバッテーリーが搭載されているため相当の重量があるのです。
これが、簡易電動車椅子ならもう少し軽くなりますが、本気のバッテリーを搭載した電動車椅子は重いのです。
電動車椅子の重さ
値段はさておき、電動車椅子の最大のデメリットはなんといっても電動モーターを搭載しているため、車椅子自体の重要が重いです。
通常の車椅子の座席の下部分にバッテリーを積むため介護者が一人で持ち運ぶとなると難しいうえ、本人を車などの座席に移乗し、電動車椅子を積み荷にするなどはほぼ不可能と思ってください。(私はそう思っています)
本気の電動車椅子であれば楽々50キロは超えます。
(ただ最近は電動車椅子でも軽量コンパクトでおしゃれなものも出ていますが、お値段はグイグイッと上がりお高いです)
簡易電動の車椅子などでも車椅子だけ運ぶとしても最低でも25㎏、ほぼ30kg以上だと思っていた方が良いです。
電動車椅子バッテリーの寿命や持ち時間
電動車椅子のバッテリーとはいえ、車両と同じ蓄えられる量も決まっています。
定期的なメンテナンスはもちろんする必要がありますし、メンテナンスをしても寿命があります。
簡易車椅子など予備バッテリーを搭載したとしても、それが切れてしまうと太刀打ちできません。
特に、完全な電動車椅子だと止まってしまうと介助用車椅子のように手動に切り替えることもできないため、バッテリーの残量を気にしておく必要があります。
操作ミスや反意図的な動作
電動車椅子は、手元のジョイスティックにより電動の電源をオンオフに自分で操作できます。
うっかり、オンにしたまま話し込んでしまったりすると、他の人には腰の高さになるジョイスティックが腰やお尻に当たり、自分の意思とは関係なく走行してしまうこともあります。
これは、私も経験したことがあるのでお伝えしておくのですが、かなり怖いです。
他にも自ら操作の仕方を誤ると、追突したり溝に落ちたりすることもあるかも知れませんのである程度の運転技術は必要です。
とはいえ、電動車椅子は道路交通法としては運転免許証は必要ありません。
電動車椅子は(ここでは障がい者ですが)障害者は身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替する用具として身体障害者更生相談所等の判定又は意見に基づく市町村長の決定により、補装具費の支給を受けることができます。
ただ、この支給を受けることができる障がい者は、認定調査という運転が出来る身体機能をもっているか否かが判断されます。
これは、「身体の障害により歩行が困難な者の移動の用に供するための車いす」を定義されているため、本人が自分の意思できちんと操作ができるか否かということになり、大きさも基準も決められています。
身体障害者用の車いすとは
身体の状態により同号に定める車体の大きさの基準に該当する車いすを用いることができない者が用いる車いすで、その大きさの車いすを用いることがやむを得ないことにつきその者の住所地を管轄する警察署長の確認を受けたもの
それに比べ、実費で買えるシニアカーなどとは少し変わってきて、電動車椅子と認定されないことが多いですね。
操作ミスや反意図的な動作に対する対策
ジョイスティックは後ろ向きできた人の腰が当たることもあるので、停止したら私は必ずこまめに電源をオフにします。
自分で車のアクセルやブレーキを踏むのと、ジョイスティックも同様です。
助手席に座ったり、後部座席に座ったりしていて運転手に急発進や急ブレーキをされることと同じ以上のダメージをうけます。
その電源オンオフが認識できることが電動車椅子を操作できる条件になるでしょう。
他にも、操作性などの慣れも必要になってきます。
慣れるまでは本人も見守っている介護者も転倒や事故の無いように気を付ける必要があります。
そういった事前事故を防止するため、 メーカー独自の「教則本」が作られている場合や、 実際の場面での走行練習を必須にしていること。
福祉用具専門相談員と使用方法や禁止事項を確認できるしくみ作りが行われているようです。
ジョイスティック型(標準型)自操用電動車椅子
一般的に、自操用電動車椅子が本気の電動車椅子と私が呼んでいる【電動車椅子】の代表です。
主な特徴は、座面シートの下に大容量のバッテリーと後輪付近に電気モーターを装備し、小径で幅の広いタイヤ・キャスターを備えています。
その、大容量のバッテリーも最近ではシールドバッテリーが標準装備になっています。
こちらの電動車椅子を購入するには、障害等級2級以上が審査対象となります。
購入可能となれば、電動車椅子の形状やコントロール方法は障害に応じてカスタマイズを行うことが可能。
手動と電動の切り替えのスイッチがついていますが、バッテリー切れや微妙な幅寄せが必要なときは介助者により手動での操作が可能です。
ただし、そもそもの電動車椅子の自重がかなりあるため、バッテリーの切れた電動車椅子を介助者が手動で操作するとなれば腕力も相当必要になります。
特に、登坂などは一人ではかなり大変です。
私もうっかりバッテリーを切らせてしまい、介助者に手動で、車(の後部座席に後ろからスロープでジャイルタイプに車)に押し込んで貰ったばかりなのですが、本当に急斜面になっているところでの手動は不能と思っていた方が良いですよ^^;
予備のバッテリーを取りに帰って貰いました;;
リクライニング・ティルト式電動車椅子
通常の車椅子同様、電動車椅子でも座面がティルトするタイプがあります。
長時間の座位が困難な場合、座面を後ろに傾ける(ティルティング)ことにより坐骨を除圧させることができます。
ティルト・リクライニング機能がついているということは、当然頭までサポートしている背面シートがロングのタイプ。
このティルト機能は、お尻の痛みを軽減することや、褥瘡(床ずれ)予防や防止に役立ちます。
ティルト機能がついていれば、だいたいリクライニング機能もついているのではと私は思っていますが、背もたれが倒れる機能がリクライニングタイプです。
これは、長い時間車いすに座っていることで股関節屈筋の拘縮を緩和させるためです。
背もたれをリクライニングさせることで股関節を伸展させることが可能です。
しかし、デメリットもあり、背もたれを倒すだけのリクライニング機能だけだと臀部が前にずれてしまい、次に起こすときに仙骨座り(ずっこけ座り)になってしまう場合もあるので注意してくださいね。
ティルト機能がある場合は、まずティルトで角度を付けてからリクライニングで背もたれを倒すとお尻がずれないのでおすすめです。
こちらは、本気の電動車椅子にも簡易電動車椅子にも、どちらにもそういった機能はついているか付けることができますよ。
座面が昇降するスタンドアップ車いすタイプ
本気の電動車椅子には、機種やメーカーによっては座面を前へ傾けることができるタイプがあります。
座面を前に傾ける?って想像しづらいですよね?
座った状態から、立ち上がる状態というと伝わるでしょうか。
立ち上がった姿勢に近い状態の前傾ティルト機能があると、車いすからベッドやベッドから車いすなど移乗介助の負担軽減にもなります。
車いすに起立機構がついたもので、リハビリ室などで使われる、ティルトテーブル(傾斜起立台)と車いすのいいとこ取りをしたような車いすです。
立ち上がる部分、車いす部分、いずれも手動のものや電動のものもあります。
電動車椅子で各関節を無理なく伸展させて自分に合った立ち上がりをサポートする電動車椅子があります。
頭部も胸部もサポートされているので、今まで通りの生活動作を行うことが可能です。
たとえば、少し高い机の高さまで座面を上げて、食事や本を読む。
立っている友人や家族との会話時に起立機能を使い目線を同じ高さまで上げることも出来るんですよ。
これは、心理的にも対等に会話ができると強く思える嬉しい機能です。
床やベッドの高さまで座面を昇降することが可能な機種では、全く起立ができな人でも自力での乗降が可能となり、自立と言う側面からも有用でしょう。
ハンドル型電動車いす
正式には、シニアカーと呼ばれるハンドル型電動車椅子は車椅子ではありません。
座席の下に車輪がついていて、モーターで駆動するので電動車椅子に入るといえば入りますが、少しジャンルが違います。
ハンドル型車椅子が作られた目的は、歩行が出来ないわけではない高齢者の移動をスムーズにするものです。
3輪または4輪の安定した車椅子で、道路交通法では免許も不要で歩行者扱いになります。
まとめ
私は、座面の昇降するタイプの電動車椅子が欲しいと思っていますが実際に自分がそれに適応するかどうかは分かりません^^;
でも、健常者といいますか普通の人と立った目線で話ができるってすごい事だと思います。
そのまえに、指一本、もしくは使える身体の箇所ひとつで操作のできる電動車椅子は本当に自由を手に入れたような気にさせてくれるアイテムのひとつです。
是非、自分で操作して風を切る感動を味わったりいただきたいと思います。
電動車椅子があったら世界が変わります、もっと軽くもっとコンパクトになってさらには価格が安くなって手に入りやすくなることを願ってやみません。
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