車椅子フェンシングとは、イギリス発祥のリハビリテーションを目的とした車椅子に乗ったままフェンシングをするパラスポーツです。
22競技で行われる東京2020パラリンピックにも、一瞬の駆け引きやスピーディな展開で人気の車椅子フェンシングがあります。
車椅子フェンシングのルールは分かれば簡単です。
フェンシングと車椅子フェンシングの違いや歴史、車椅子フェンシングとはどういうものか、簡単に紹介しますので、観戦前に予習しておきましょう。
車椅子フェンシングとは
車椅子フェンシングとは、車椅子に乗ったまま行うフェンシングです。
フェンシングとは、金属製の細い剣を片手に持って、制限時間内に相手を攻撃することで得点を争うゲームです。
車いすフェンシングも服装は、健常者のフェンシングとほぼ同じで、電気審判器とつながっているユニフォームとマスク、グローブを着用します。
フェンシングと車いすフェンシングの違いは車椅子に座ったまま戦うというところで、ピストと呼ばれる器具で車椅子を固定して上半身だけで戦います。
健常者のフェンシングとの違いは、間合い、いわゆる距離を足で測りながら対戦しますよね。
一方、車椅子フェンシングの場合は、上半身だけで戦い、さらにピストで固定された場所が相手に対して常に近い距離で戦うので、正確で俊敏な攻撃や高い集中力が必要とされます。
車椅子フェンシングのルールを簡単に説明
ルールは健常者が行うフェンシングと基本的に同じですが、車椅子が固定されているので、足の移動によるフットワークが使えません。
対戦相手と向き合う角度が110度になるようにピストに固定され、剣やユニフォームなどの検査を行った後に、お互いに車椅子に座ります。
また常に足はフットレストに置かなければならず、車椅子の座面からお尻を離すこともルール違反です。
競技者は1対1で戦いますが、個人戦と団体戦があり、障がいの度合いや座席バランス能力により2つにクラス分けられます。
車いすフェンシングの種目は、フルーレ(胴体を突く)、エペ(上半身を突く)、サーブル(上半身の突きと斬る動作)の3種類があります。
個人戦は予選は3分間で5トゥシュ(5回突く)先取制、決勝トーナメントでは、3分間3セットが行われ、その間15トゥシュ先取制。
団体戦は、1チーム3人が出場し1人が3分間で5トゥシュ先取制を3セットずつ行う。
最高で9セット中に45トゥシュ先取するか、タイムアップの時点で勝敗が決まります。
この時点で、同点の場合、1分間の延長戦がサドンデス方式で行い勝敗を決めます。
これは、個人戦も同様です。
車椅子フェンシング歴史と日本の展望
イギリスに亡命したドイツ出身のルートヴィヒ・グットマンが、ロンドンのストーク・マンデル病院で行った入院患者のリハビリテーションを目的としたスポーツ大会が1948年に行われました。
その後この大会は国際身体障害者スポーツ大会として発展し、1960年にはオリンピックと同じイタリアのローマで行われ第1回パラリンピックと見なされるようになりました。
その1960年の最初のローマパラリンピックから、正式競技として車椅子フェンシングは行われています。
日本では、1994年に京都市障害者スポーツセンターでスタートしたグループを基にして日本車いすフェンシング協会が設立されました。
そして2000年シドニー、2004年アテネ、2008年北京と3回連続出場をしています。
現在はシドニー、アテネのパラリンピック2連覇のフン・イン・キー氏をヘッドコーチに迎え、2020年東京に向けて多くの強化選手を海外遠征で鍛えています。
2018年のアジアパラリンピックで日本は、銀2個、銅7個の実績。
日本代表の強化選手の中には、2017年ワールドカップハンガリー大会で、カテゴリーB女子エペ個人で銀メダルを獲得した、櫻井杏理(さくらいあんり)選手などがメダル獲得を目指しています。
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まとめ
車椅子フェンシングとは、健常者が行うフェンシングとは違い、車椅子フェンシングルールは分かれば簡単です。
車椅子フェンシングならではのルールで攻撃有効面の違いはありますが、目にも止まらない速さで競うのは健常者が行うフェンシングと変わりません。
車椅子フェンシングの歴史を語るなら、日本の剣道に武士道があるようにイギリスの騎士の騎士道があります。
一見、尖った剣で危険そうに見えるスポーツですが礼儀のスポーツであるフェンシングをフットワークなしの上半身のみの車椅子フェンシングの魅力を是非知ってくださいね。
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