車椅子で段差を乗り越えるときの介助の仕方には車椅子の前輪キャスターを浮かし、ウイリーさせて上がることが可能です。
車椅子で大きな段差ならスロープがある方が安心で安全です。
自分で乗り越えられる段差はそうそうありません、転倒防止バー(ウイリーバー)があっても怖いものです。
介助者も車椅子の段差解消スロープがあれば楽に段差を乗り越えることができますが、段差の高さによるスロープの長さなど、長めに見積もったつもりで転倒した私の体験談を聞いてください!
そして段差を解消するためには、どの位のスロープの長さが必要なのか計算してみましょう。
車椅子で段差乗り越え介助の限界は
車椅子で段差を乗り越えるには介助が必要です。
自走式車椅子を自力で漕ぐ人でもよほど力がないと難しく、電動車椅子となってもバランスが崩れることもあり、危険ですよね。
車椅子を介助する人にも当然段差を乗り越える力の限界はあります。
その限界は介助する人の体力、体格、経験などの個人的能力でも違ってくるので、一概に20㎝が限界というような断言はできません。
介助者の段差乗り上げ高さについて、J-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)による能登裕子氏・村木里志氏の研究を参考として、概略を紹介します。
・介助者:女性11名(平均:約64歳、体重約52kg)
・車椅子乗車者:女性で、平均体重約53kg
・乗り上げ方法:5mmから150mmの高さを8段階にして、介助者が前輪を浮かせて乗り上げ、その後に後輪を浮かせて段差へ押し付けるように乗り上げる方法。
結果
・乗り上げ高さの限界は、90mm2名、120mm6名、150mm3名。
90mm以上でバランスが崩れることがあった。J-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)より
これらから、車椅子で段差を乗り越える介助の限界は、120mm~150mmですが、90mmを超えると難易度が増し、乗車者の乗り心地は悪くなるという結果になりました。
車椅子用に段差をスロープで解消する場合の長さ
車椅子の段差をスロープを付けてスムーズに移動させるという方法があります。
乗り越えたい段差に対しスロープの長さの長短を調整することで、適正な勾配を作り上り下りが安全にできるようにします。
家の中や家の外でまた段差の高さも変わってきますが、スロープが欲しいと思う場所の代表に玄関の上がりがまちの段差や、玄関ポーチの段差などがあります。
玄関の上がりがまちは大体20~25cmという高さが一般的。
なかなか玄関に車椅子用のスロープを据え置くわけにはいきません、玄関土間(靴を脱ぐところ)の広さがたっぷりあったとしても、過般型スロープを取り入れて上がりがまちから玄関外へ立て掛けます。
こういった持ち運びができる段差解消スロープです。
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上がりがまちの高さが24cmだとして、175cmのスロープを設置すると、その勾配は約1/7勾配です。
後ほど、バリアフリー法で定められた基準をもとに計算する方法を説明しますが、自宅などでこのような簡易スロープを使用する場合、よく使用されるのは1/8勾配です。
分母が大きい数字の方が傾斜が緩やかになるため、1/7勾配でもキツめですが、玄関という限られたスペースで使用することを考えても最低ラインとして1/6勾配(高さに対して長さが6倍)にしてくださいね。
そして、この過般型スロープですが、当然長くなればなるほど重みも増し場所も取ります。
高齢者などでも簡単に折りたためて移動や設置ができそうに見えますが、毎回ともなると大変です。
デイサービスなどの施設の送迎時などに使う場合は、施設の職員さんか、若い人に頼める場合は頼んでみてくださいね。
車椅子で段差解消スロープの計算方法の目安
車椅子で段差解消をするときのスロープの長さは、バリアフリー法での勾配の基準が屋内1/12、屋外1/15となっています。
これらの勾配を確保するため、スロープの長さを調整するときの計算方法の目安には次のものがあります。
1/15の場合:スロープ長さ=段差×15、段差10㎝の場合:10㎝×15=150㎝
これらの長さよりもスロープの長さを伸ばすことで、より緩やかな勾配になります。
とはいえ、こちらのバリアフリー法は建築物など建物に付属しているスロープの基準ですので、自宅や実家などで使う場合の目安としては現実的ではないですよね。
福祉用具販売店や福祉器機担当者から、以前スロープを購入するためデモ機を借りたときも最低でも1/8勾配をお願いされました。
1/8勾配は、高さ×8、段差の高さの8倍以上のスロープの長さです。
玄関ポーチへ上がるために購入を考えていた時で、2段の階段のある玄関ポーチの高さは地面からポーチ上まで30cmは超えていたのですが240cmの過般型スロープをデモ機として借りてみたら・・・
想像以上に240cmは長かったです、設置するのもデモ機を持ってきてくれた男性の福祉用具担当者さんに頼みました。
ポーチ上から降りるを試したとき、電動車椅子で後ろ向きにスロープを降りていくまでは良かったのですが、最後のスロープから地面への切り替わり部分で後輪が地面に着いた途端後ろにひっくり返ってしまいました(^0^;)
介助者に後ろにいないまま降りてみていたので慌てました(というか本当にダメです)が、キレイに後転していたので何も無かったかのように戻して貰いましたが、それからは傾斜には慎重です。
みなさんも、勾配が緩やかでも必ず介助者の方に後ろについてもらってスロープを上り下りしてくださいね。
まとめ
車椅子で大きな段差を乗り越えるのは、介助の人がいても結構難しいものです。
特に敷地内や玄関やポーチなどの自宅や実家で車椅子を使用する場合、段差にスロープをつけることで段差を解消する方法が、車椅子の乗用者も介助の人も安全・安心だと思います。
現在は、車椅子用の屋内や屋外の段差を解消するスロープでも、持ち運びできる過般型スロープという車椅子用スロープが販売されているので活用すると良いですよ。
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