車椅子を室内と屋外で兼用していると、外出先から帰ってきたときのタイヤ拭きに困ります。
そのまま家の中へ入ると、タイヤについた砂や泥、水分で床が汚れてしまうことがあります。
タイヤを拭く手間が増えることで、家族や介助者に悪いと思い、外出を控えてしまう方もいるのではないでしょうか。
私も以前は、タイヤ拭きを負担に感じ、外出をためらうことがありました。
しかし、汚れに合わせて拭き方や道具を使い分ければ、毎回の負担を少し軽くできます。
大切なのは、帰宅したときに玄関で砂・泥・水分を落とし、室内へ汚れを広げにくくすることです。
帰宅後の基本的な流れ
① 玄関マットの上でタイヤの汚れを確認する
② 後輪を少しずつ動かしながら接地面を拭く
③ 前輪キャスターの汚れも確認する
④ 水分が残っている場合は乾いた布で仕上げる
車椅子を室内と屋外で兼用するとタイヤ汚れが気になる
車椅子を室内と屋外で兼用している場合、屋外を走ったタイヤでそのまま室内へ入ることになります。
乾いた舗装路を少し移動しただけの日と、雨の日や砂利道を通った日では、タイヤの汚れ方が異なります。
そのため、毎回同じ方法で洗うのではなく、帰宅時にタイヤの状態を見て、汚れに合わせた方法を選ぶのが現実的です。

目立つ泥や水分がなく、軽い砂やほこりだけであれば、玄関マットと乾いた布だけで済むこともあります。
車椅子のタイヤを拭くタイミングと場所
車椅子のタイヤを拭くタイミングは、外出先から帰り、玄関から室内へ入る前です。
玄関の外や土間など、車椅子を安定して止められる場所を決めておくと、毎回の作業がしやすくなります。
ただし、玄関の段差部分や傾斜のある場所、車椅子を十分に止められない狭い場所で作業するのは避けましょう。
玄関に大きな段差があり、安定した場所でタイヤを拭きにくい場合は、車椅子で玄関の段差を越える方法と可搬型スロープの選び方も参考になります。
玄関に用意しておくと便利なもの
タイヤ拭きに使うものを玄関の近くにまとめておくと、帰宅後に道具を探す手間を減らせます。
用意しておくと便利なもの
玄関マットまたは吸水マット
乾いた雑巾や使い捨てクロス
固く絞った雑巾
ペット用の手足拭きシート
汚れた布を入れる袋
必要に応じて使い捨て手袋
玄関マット・吸水マット
乾いた砂やほこりは、玄関マットの上をゆっくり通ることで落としやすくなります。
雨の日は吸水できるマットを使うと、タイヤから落ちる水分が床へ広がるのを抑えられます。
車椅子が乗ったときにめくれたり、滑ったりしにくいものを選びましょう。
雑巾・使い捨てウエス
車椅子のタイヤ拭きで取り入れやすいのは、雑巾や使い捨てのウエスを使う方法です。
乾いた砂やほこりには乾いた布、雨水や軽い泥汚れには固く絞った布を使います。
私は、着られなくなったTシャツなどの古くなった衣類、タオル、台拭き、ふきんなどを使いやすい大きさに切り、タイヤ拭き用のウエスとして用意していました。
あらかじめ切って玄関に置いておけば、汚れがひどい日でもすぐに使えます。洗って再利用する手間がなく、使用後はそのまま捨てられるのも便利です。
雨の日は古い靴下も便利
履かなくなった靴下を介助者が手にはめると、タイヤを包むようにしてゴシゴシ拭けます。
タイヤを拭いたあと、まだきれいな部分で玄関の汚れも拭けば、無駄なく使ってそのまま捨てられます。
古着をウエスにするときは、ボタンやファスナー、飾りなどの硬い部分を取り除いてから使いましょう。
ペット用シートやウェットシート
軽い汚れであれば、ペットの手足拭き用シートやウェットシートを使う方法もあります。
ただし、除菌成分や洗浄成分が含まれているものは、タイヤの素材や床材に合わない場合があります。
日常的に使用する場合は、車椅子と床材の取扱表示を確認してください。
除菌することと、砂や泥を取り除くことは同じではありません。まずは目に見える砂・泥・水分を落とすことを優先します。
車椅子のタイヤを拭く基本的な手順
タイヤを拭くときは、車椅子を安定した場所に止め、少しずつ前後に動かしながら接地面を一周確認します。
後輪を少しずつ動かしながら拭く
最初にブレーキをかけ、手が届く範囲の後輪を布で拭きます。
そのあと一度ブレーキを解除し、車椅子を少しだけ前または後ろへ動かします。
再びブレーキをかけ、先ほど床に接していた部分を拭きます。
この動作を繰り返すと、車椅子を持ち上げなくても、後輪の接地面を一周確認できます。
人が乗った状態で車椅子を大きく傾けたり、介助者が車椅子ごと抱え上げたりしないでください。車椅子を動かすときは、利用者の姿勢と周囲の段差を確認しましょう。
前輪キャスターも確認する
後輪だけでなく、前輪キャスターにも砂や泥が付きます。
前輪は向きが変わるため、車椅子を少し動かしながら接地面全体を確認します。
髪の毛や糸くず、小石などがキャスター周辺に絡まっていないかも見ておきましょう。
ハンドリムやフットサポート周辺も確認する
雨の日や泥の多い場所を通ったあとは、タイヤだけでなく、ハンドリムやフットサポート周辺に汚れが付いている場合があります。
手や衣類が触れる場所も確認し、必要な部分だけ拭き取ります。
タイヤの汚れに合わせた対処方法
車椅子のタイヤは、汚れの程度に合わせて方法を変えると、毎回の負担を減らせます。
汚れ別の目安
乾いたほこりや軽い砂:玄関マットと乾いた布
雨水や軽い泥:吸水マットと固く絞った布
こびり付いた泥:安全な場所で部分的に清掃
油や鋭い異物:無理に触らず販売店やメーカーへ確認
乾いたほこりや軽い砂汚れ
目立つ泥や水分がない場合は、玄関マットの上をゆっくり通り、残った砂を乾いた布で拭く程度で済むことがあります。
砂が多いときは、濡らす前に乾いた布やブラシで落とすと、泥状になりにくくなります。
雨の日の水分や泥汚れ
雨の日は、吸水マットでタイヤの水分を受け止めてから、固く絞った布で泥を拭きます。
濡れた布で拭いたあとは、乾いた布で水分を取っておくと、室内の床が滑りにくくなります。
雨天時はタイヤだけでなく、衣類や座面、フットサポート周辺も濡れやすいため、雨の日に車椅子で外出するときの介助方法と濡れ対策もあわせて確認しておくと安心です。
泥汚れが強い場合
泥が厚く付いている場合は、利用者が安全に待機または移乗できる場所を確保してから、必要な部分だけを清掃します。
バケツの水とブラシを使う場合も、車椅子全体に水をかけるのではなく、タイヤの汚れを少しずつ落とします。
車椅子によっては、水洗いできない部分があります。取扱説明書に記載された手入れ方法を優先してください。
人が乗った車椅子を持ち上げたり、大きく傾けたりしてタイヤを洗う方法は危険です。無理な姿勢で作業せず、安全に移乗できない場合は販売店や専門職へ相談してください。
タイヤカバーを使う方法と注意点
室内へタイヤの汚れを持ち込みにくくする方法として、車椅子用のタイヤカバーがあります。
後輪だけに付けるタイプや、前輪キャスターにも対応したタイプなど、製品によって形状が異なります。
タイヤカバーを選ぶときの確認点
タイヤの直径と幅に対応しているか
前輪キャスターにも必要か
装着中にずれないか
床の上で滑りやすくならないか
毎回無理なく着脱できるか
タイヤカバーを付ければ、タイヤをまったく拭かなくてよいわけではありません。
砂や小石が付いたまま装着すると、カバーの内側に汚れが残ります。
また、濡れたタイヤに装着すると、水分がカバー内にこもることがあります。
目立つ砂や泥、水分を落としてから、製品の取扱方法に従って装着しましょう。
室内用と屋外用の車椅子を使い分ける方法
室内用と屋外用の車椅子を分けると、屋外のタイヤ汚れを室内へ持ち込みにくくなります。
ただし、2台を使い分けるには、玄関で安全に移乗できること、2台分の保管場所があること、購入やレンタルにかかる費用などの条件があります。
利用者が一人で移乗できない場合は、介助者の負担も大きくなるため、誰にでも適した方法ではありません。
2台運用を検討するときは、利用者の身体状況、移乗方法、玄関の広さ、介助者の体力を確認しましょう。
タイヤ拭きの負担を減らすには室内動線も整える
タイヤの拭き方だけでなく、玄関から室内までの動線を整えることも大切です。
玄関マット、雑巾、使い捨てクロス、手袋、使用後の布を入れる袋などを近くにまとめておくと、帰宅後の準備や片付けがしやすくなります。
玄関まわりを整えるポイント
車椅子を安定して止められる場所を決める
タイヤ拭き用品を手の届く位置へまとめる
汚れた布を入れる袋を用意する
玄関から室内までの床を拭き取りやすくする
段差や狭い場所で無理に作業しない
玄関から部屋までの通路が狭い場合は、タイヤを拭く場所だけでなく、車椅子が通れる幅や方向転換する場所も確認しておきましょう。
特に、廊下の途中に家具や荷物があると、拭いたあとの車椅子を室内へ移動させにくくなります。
玄関から室内までの通路幅や回転スペースについては、家で車椅子を使うときに必要な廊下幅と室内動線で詳しくまとめています。
電動車椅子のタイヤを拭くときの注意点
電動車椅子は、タイヤの近くにモーターや配線などがある場合があります。
水を直接かけず、基本的には固く絞った布を使ってタイヤの汚れを拭き取ります。
操作部、充電端子、バッテリー、モーター、配線の接続部などを濡らさないように注意してください。
電動車椅子は製品によって構造や防水性能が異なります。水洗いの可否や使用できる洗剤は、取扱説明書やメーカーが指定する手入れ方法を確認してください。
タイヤを拭いたあとは手を洗う
タイヤ拭きが終わったら、使用した布やシートを片付け、手を洗いましょう。
使い捨て手袋を使った場合も、外したあとに手洗いをします。
繰り返し使う雑巾は、ほかの掃除用の布と分けて保管すると管理しやすくなります。
まとめ
車椅子で外出したあと、タイヤを毎回完全に洗う必要があるとは限りません。
まずは玄関でタイヤの状態を確認し、乾いた砂には玄関マットや乾いた布、雨水や泥には吸水マットと固く絞った布を使います。
後輪だけでなく前輪キャスターも確認し、濡れたあとは水分を残しすぎないようにしましょう。
タイヤカバーや、室内用と屋外用の車椅子を使い分ける方法もありますが、着脱の手間、移乗の安全性、保管場所などを考える必要があります。
タイヤを完璧にきれいにすることよりも、玄関で砂・泥・水分を落とし、室内へ広げにくい仕組みを作ることが、外出後の負担を減らすポイントです。


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